2026年10月23日(金)

コラム・エッセイ

(18)右田ヶ岳(みぎたがだけ)

再々周南新百景 佐森芳夫(画家)

 「右田ヶ岳に登ってみよう」と友人から誘いがあった。いつも鉱山などの探索に同行してもらっている友人からの誘いを断るわけにはいかない。思い切って、一度も登ったことがない右田ヶ岳に挑戦することにした。

 登山が嫌いなわけでは決してない。どちらかと言えば、好きな方と言えるであろう。若いころには、県内外の高い山にも登っていたが、体力に自信が持てなくなった最近では、近くの低い山に登る程度になっていた。

 防府市にある右田ヶ岳は、低山ではあるが、それでも高度は400メートルを越える。さらには、急斜面の山肌には巨岩や奇岩が立ち並ぶかなり難度が高いと思われる山である。無事に登ることができるかどうか不安を感じる。

 登山コースを調べてみると、比較的登りやすい塚原コースや摩崖仏がある起伏の激しい天徳寺コース、山の尾根を伝う塔之岡コース、ロッククライミング気分が味わえる初心者向きではない勝坂コースなど多くがある。

 あいにくの雨が止むのを待って、無料の駐車場が完備された塔之岡から上右田Cコースをたどりながら山頂を目指した。渓流にかかる橋は必見であったが、その後は足がすくむような厳しい岩場が幾度となく続いた。

それでも、樹木に覆われていない場所では、高度の変化を身を持って感じることができた。その臨場感こそが、多くの人を魅了して止まない理由の一つになっているのであろう。開始から1時間50分で山頂に到着した。

 これまで、国道2号を走る自動車や山陽新幹線の車窓から何度も目にしてきた馴染み深い右田ヶ岳であったが、なぜか登ることなど一度も考えたことはなかった。その過ちの大きさを、山頂に立つことで気づかされた。

 雨があがりすっかり晴れ渡った山頂からは、防府市内の風景が手を取るように広がり、遠くには九州が見えた。直下を走る山陽新幹線や防府北基地から飛び立つ航空機を眺めながら、至福の時間を過ごすことができた。

LINEで送る
一覧に戻る
今日の紙面
出光興産

出光興産徳山事業所は、エネルギーと素材の安定供給を通じて産業や暮らしを支えています。環境負荷低減や安全操業に取り組み、地域とともに持続可能な社会の実現に貢献していきます。

東ソー

東ソーが生み出す多種多様な製品は、社会インフラや耐久消費財など人々の生活に役立つさまざまな最終製品に使われています。総合化学メーカーだからこそできる、化学の革新を通して持続可能な社会に貢献していきます。

周南公立大学

2024年春、周南公立大学は新学部学科を開設しました。経済経営学部(経済経営学科)、人間健康科学部(スポーツ健康科学科・看護学科・福祉学科)、情報科学部(情報科学科)の3学部5学科体制となりました。大学の活動や入試情報も随時公開中!

株式会社トクヤマ

トクヤマは、電子材料・ライフサイエンス・環境事業・化成品・セメントの各分野で、もっと幸せな未来をつくる価値創造型企業です。