コラム・エッセイ
(19)携帯ラジオ
再々周南新百景 佐森芳夫(画家)![]()
畑では、いつもラジオ放送を聴いている。趣味で始めた家庭菜園であれば、出来不出来はどうであっても楽しくなければ意味がない。ラジオ放送を自由に聴きながら、楽しく作業ができればそれが一番と言える。
ラジオ放送を聴くために使用しているのが、作業服のポケットに入れても作業の邪魔にならない小型の携帯ラジオである。聴いているのはAM放送であるが、畑のどの場所にいても鮮明な音を届けてくれている。
なんの問題もなく聴けていたAM放送であったが、FM放送に変わることになった。「雑音が少なく聴きやすい」とさかんに宣伝されているFM放送に変わるのであれば、それに期待しないわけにはいかない。
AM放送がモノラルであるのに対して、FM放送はステレオである。誰がどう考えても、FM放送の方が優れていることぐらいは理解できるだろう。ところが、思惑通りにことが運ばないのは、世の常である。
使用している携帯ラジオがワイドFMに対応しているので、さっそくFM放送に切り替えてみると、「雑音が少なく聴きやすい」とはいかなかった。電波をまったく受信しないわけではないが、鮮明ではない。
「雑音が少なく聴きやすい」状態にするためには、携帯ラジオのアンテナをいっぱいに伸ばす必要があるだけではなく、携帯には致命的と言える、電波状態が良い場所を見つけて固定しなければならなかった。
期待はずれの結果となったが、FM放送が万全ではなく電波の状況によっては届きにくい場所があることは以前から分かっていた。ラジコなどでも聴けると紹介されているが、そこまでする必要はないだろう。
使い続けてきた携帯ラジオは、残念ながらAM局が廃止されると同時に役目を終わることになる。AMの周波数が表示された携帯ラジオは、貴重な思い出になるかもしれないが、そのうち処分するつもりでいる。
