2026年10月23日(金)

コラム・エッセイ

(21)招き猫

再々周南新百景 佐森芳夫(画家)

 朝、カーテンを開けて目に入ったのは、近くの家の屋根上にいる野良猫の姿であった。猫好きの一人としては、猫が屋根の上にいるぐらいでは驚くことはないが、そこでいったい何をしているかについては興味があった。

 しかし、興味を持ったところで、おそらく猫にはたいした理由があるわけではないだろう。何の役にも立たないのであれば人間の勝手な詮索は止めて、気まぐれな猫の行動を密かに楽しんだほうが良いかもしれない。

 屋根の最上部にあたる大棟の上に座っている猫の姿は、遠くから眺めれば「唐獅子」のようにも見えなくはないが、眠たそうな目では幾分迫力に欠ける。それよりも、「猫に小判」の方がふさわしいと言えるであろう。

 「猫に小判」のことわざの意味は、価値を知らない猫に小判を与えても意味がないことである。ことわざは屋根の上にいる猫には関係ないように思えるが、猫が座っている鬼瓦をよく見るとその関係がわかってくる。

 その答えは、鬼瓦の図柄となっている「打ち出の小槌」にある。振ればほしいものが出てくる小槌から、小判が出てきても不思議ではないはずである。小判が出てくれば、めでたく「猫に小判」に結びつくことになる。

 猫と小判が揃えば、「招き猫」に変身することができる。江戸時代に誕生したとされる「招き猫」は首輪に鈴をつけたものであったらしいが、時代ともに、全国各地でいろいろな物を持った「招き猫」に変化していく。

 多くの「招き猫」がある中でも、小判を持ったものが一般的であろう。小判には、開運や招福などの文字、千両や万両などの金額が描かれているものがある。いずれの小判にも、財運を招く効果があるとされている。

 「招き猫」の元になったのが3色の毛が生えた三毛猫であったとも伝えられている。屋根の上の野良猫も三毛猫であることから、いつの日にか、「招き猫」となって「財運」や「幸運」を招いてくれるかもしれない。

LINEで送る
一覧に戻る
今日の紙面
スバル合同会計 周南事務所

相続時や建物の購入売却時の相続税・資産税のご相談。
大切に育てた事業の譲渡や事業の拡大にむけて、複数の専門業者との提携で、お客さまの求める結果を一緒に目指します。

西京銀行

西京銀行のスマホバンキングアプリ。残高照会や振込、定期預金の手続きなどをスマートフォンで簡単・便利に利用できます。
口座開設や各種手続きもアプリで完結。詳しくは西京銀行までお気軽にお問い合わせください。

東ソー

東ソーが生み出す多種多様な製品は、社会インフラや耐久消費財など人々の生活に役立つさまざまな最終製品に使われています。総合化学メーカーだからこそできる、化学の革新を通して持続可能な社会に貢献していきます。

株式会社トクヤマ

トクヤマは、電子材料・ライフサイエンス・環境事業・化成品・セメントの各分野で、もっと幸せな未来をつくる価値創造型企業です。