2026年05月28日(木)

コラム・エッセイ

(25)カンナの花

再々周南新百景 佐森芳夫(画家)

 夜中に、携帯電話の大きな音が鳴った。緊急速報メールであった。画面には、「レベル4 避難指示の発令 こちらは、周南市です。2024年07月11日01時15分に下記地区に避難情報を発令しました」と記してあった。

 容赦なく打ち付ける激しい雨音と鳴り響く雷の音に、なかなか寝ることができずにウトウトとしている時であった。すぐに、テレビをつけてみると、横に長く伸びている線状降水帯の真っただ中にいることが分かった。

 しかし、今さらどうしようもないが、緊急速報メールにあった避難情報の下記地区の地名が気になった。ところが、うかつにもOKマークを押したため、すでに画面から消えたメールがどこに行ったのかが分からない。

 あれこれと、やってみたがメールの行方は分からなかった。雨はますます激しく降りしきり、周辺が明るくなるほど稲妻が光り雷音が鳴り響く。生きた心地がしないとは、この事かも知れない。不安が高まってくる。

 そうこうしているうちに、2時46分に再び携帯電話に緊急速報メールが届いた。今度は、先ほどとは違う地区への避難指示であった。止まない激しい雨足に、避難指示の範囲に指定されるのではないかと不安になる。

 ようやく、明け方になって、線状降水帯をぬけたことで雨音も緩やかになった。まだ、安心するには早すぎるかもしれないが、気持ちは少し楽になった。避難指示が出た地区では、それどころではなかったに違いない。

 自宅に置いた円柱の容器を代用した簡易な雨量計では、10日から11日までの24時間の降水量が約190ミリであった。これは、下関地方気象台が発表した周南鹿野における24時間降水量196.5ミリに迫る驚きの数値といえる。

 ひとまず雨は峠を越えたようであるが、まだ梅雨は終わっていない。引き続き、梅雨の末期に降る大雨に対する警戒が必要であろう。やがて、川の水が引く頃には、カンナの花が映える夏を迎えられるかもしれない。

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