コラム・エッセイ
(30)六地蔵(ろくじぞう)
再々周南新百景 佐森芳夫(画家)![]()
コンクリートで舗装された急な坂道を登っていくと、墓地がある。お盆の期間には墓参りの人が多く訪れていたが、お盆が終わった今ではひっそりとしている。その墓地の入口にある六体のお地蔵さまを訪ねてみた。
お地蔵さまがこの場所に建立された時期は不明であるが、その外観からはかなりの歴史が感じられる。これら六体のお地蔵さまは、六地蔵と呼ばれるもので、仏教の「六道輪廻の思想」から生まれたものとされている。
その六道輪廻について調べてみると、「すべての生きものが、六種の世界で生と死を何度も繰り返し、さまよい続けること」との説明があった。六種の世界とは、地獄、餓鬼、畜生、修羅、人間、天上の六道をいう。
人間は生前のおこないによって、死んだあとの行き先が六道に分かれるとされている。行き先であるこれら六道における苦しみを救うのが六地蔵であり、それぞれの道には、それぞれ違ったお地蔵さまが待ち受けている。
たとえば、大罪を犯した者が堕ちるとされる苦しみの激しい地獄道を救うのが檀陀(だんだ)地蔵であり、強欲で嫉妬深い人が堕ちるとされる飢えと渇きに苦しむ餓鬼道を救うのが宝珠(ほうじゅ)地蔵とされている。
さらに、道徳から外れた人が堕ちるとされる弱肉強食の畜生道を救う宝印(ほういん)地蔵、争いが絶えない修羅道を救う持地(じじ)地蔵、人間道を救う除蓋障(じょがいしょう)地蔵、天道を救う日光地蔵がある。
ただし、六地蔵のそれぞれの名称や形体については、定まっているわけではないらしい。宗派や時代、場所、石工などによっても違いが見られるようであるが、直接確認したわけではないので正しいことは分からない。
この墓地の六地蔵も赤い前掛け(よだれかけ)をつけている。どこのお地蔵さまや六地蔵でも、よく見かける風景である。そこには、「賽の河原地蔵和讃」が物語っている救いと願いが込められているような気がする。
