コラム・エッセイ
(33)夏の野菜
再々周南新百景 佐森芳夫(画家)![]()
昨年に続いて、今年もサツマイモが被害を受けた。防護柵から家庭菜園に侵入し、植えていたすべてのサツマイモを掘り起こし根こそぎ奪っていった犯人は、犯行の手口や残されたフンなどからイノシシと思われる。
収穫するにはかなり早過ぎるこの時期に、サツマイモがどれぐらい育っていたのかは不明である。欠片が残されていなかったことから、十分に育っていなかったようにも思えるが、被害を受けたことに変わりはない。
イノシシが出現した深夜は、月齢3.0、月の入りが20時ごろとまさに闇夜であった。夜行性の動物の本来の行動と言えるであろうが、そこには、闇に紛れて悪事を働く卑劣な犯罪者に対する憎しみと同じものを感じた。
それにしても、食料となるサツマイモを暗闇の中で的確に探し当てるイノシシの能力には、ただ驚くばかりである。耕作地を狙うのは、おそらく人間が手を入れた場所には食べ物があることを学習したからであろう。
これらの対策としては、人間が耕作した場所に近づくと身に危険が及ぶことを学習させる必要がある。そのために開発された商品も多く販売されているが、いずれの商品も家庭菜園には本格的過ぎるような気がする。
2年続いた被害は、自力での対策が無駄であることを知らせているのであろう。今後は、思い切って被害にあったサツマイモを作ることをあきらめるほうが良いのかもしれない。未練が残るが、やむを得ないといえる。
見るも無残に荒らされた家庭菜園であったが、ピーマンやミニトマト、シシトウ、イクラなどの夏の野菜が攻撃にも負けずに多くの実をつけたままであった。イノシシがこれらを食料の対象としなかったのが幸いした。
思い返してみると、ほとんどの夏の野菜は、毎年のように害虫被害を受けていた葉物野菜の代わりとして作り始めたものであった。いさぎよくあきらめることも、家庭菜園を楽しく続けるために必要な事かも知れない。
