2026年05月28日(木)

コラム・エッセイ

(49)シロハラ

再々周南新百景 佐森芳夫(画家)

 冬の楽しみの一つに、野鳥の観察がある。木の葉が枯れ落ちた冬の時期には、鳥の姿がよく見えることから野鳥の観察にとって絶好の機会となる。さらに、冬鳥の多くを観察できることも理由に加えるべきであろう。

 冬鳥とは、秋に日本にやって来て冬を過ごし、春になると去っていく渡り鳥のことである。季節によって移動をすることがなく、一年中同じ場所に住んでいる留鳥(りゅうちょう)と言われる野鳥とは別のものをいう。

 その冬鳥は、毎年決まった時期になるとやってくるので、出会えたことによって、季節の移ろいを感じることができる。前の年と同じ個体であるかどうかは分からないが、再会できたことを素直に喜ぶようにしている。

 渡り鳥にとっての渡りは、人間が行っている観光旅行とはわけが違う。何かに頼ることもなく、小さな体一つで海を渡るには、それ相当の厳しさがあるだろう。その苦労を感じさせることなく飛び回る姿は、美しい。 その冬鳥の中に、シロハラと呼ばれる鳥がいる。その名前の由来となったとされる白色の腹の部分であるが、その色は目立つほどの白色ではない。それよりも、飛んでいる時の尾の先の色の白さの方が、目立っている。

 何とも不思議な名前であるが、その不思議さは色だけではなく、行動にまで及んでいる。よく見かける場所が、鳥が飛び交う空の上ではなく、落ち葉が積もった地上になる。鳥にふさわしいと思えない場所で活動する。

 誰もが、散歩の途中などで植木の下から聞こえてくる「ガサッ、ガサッ」という音に驚いたことがあるに違いない。ほとんどの人は、不気味なその音の正体を確かめることなく、急いでその場を離れているであろう。

 その音を出している正体が、シロハラである。落ち葉を掻きわけることによって、木の実やミミズなどを探し出している。その行動は、思った以上に大胆で力強く、跳ね除けると言ったほうがふさわしいかもしれない。

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