コラム・エッセイ
(52)サザンカ(山茶花)
再々周南新百景 佐森芳夫(画家)![]()
如月(きさらぎ)に入って、今季最大とも言われる寒波に相次いで襲われた。さらに、その寒波が長期間日本列島に居座ったために、全国各地で、路面凍結や積雪による交通渋滞や事故などの被害が多く発生している。
日頃、めったに雪が積もることのない周南市郊外でも、約5センチの積雪があった。土曜日であったことで、通勤や通学への影響は最小限に抑えられたようであったが、それでも積もった雪に多くの車が苦戦していた。
今季から、冬用のタイヤの使用を止めることにした。凍結や積雪がある日に車を運転しなくても済むのは、それ相応の年齢になったからであろう。しばらくは車に乗ることはできないが、それでも雪の風景は楽しめる。
雪が降り止んだのを見計らって、いつもの散歩に出かけることにした。長ぐつを履き、凍結した路面に注意しながら通りに出ていくと、道路にはすでに多くの車が通った跡を残す雪と氷の轍(わだち)ができていた。
日常では味わうことのできない雪の風景を楽しむために、足跡の少ない雪道を歩くことにした。そのおかげで川沿いでは、ここ数年の間、一度も目にすることがなかった川面にはった薄い氷に出会うことができた。
その光景を目にするだけで、身も心も凍り付くほどの寒さを感じざるをえないと言いたいところであるが、すぐそばの川の流れでは、着の身着のままと言っても決して過言ではないカモ達が元気よく泳ぎ回っていた。
カモ達から𠮟咤激励を受けたところで、さらに公園のある場所まで足を進めた。公園では、澄み渡った青色の空に、咲き誇ったサザンカの赤色と降り積もった雪の白色と葉っぱの緑色とが見事な風景を描き出していた。
やはり、冬の空に広がる青色には、他の季節では味わうことができない美しさがある。その種明かしをすると、乾燥した空気ということになるらしい。それでも、晴れた日には、絶好の機会を逃さないようにしたい。
