2026年05月28日(木)

コラム・エッセイ

(57)安寧山磨崖仏

再々周南新百景 佐森芳夫(画家)

 光市塩田の安寧山(あんねいやま)に磨崖仏があると聞いたので、訪ねてみることにした。県道68号そばの「安寧山の八十八ヶ所巡礼」の案内板に沿って坂を上ると、「宗通寺」の真新しい寺院表札が設置されている。

 今から7年以上前のことになるが、周南新百景の連載で、この場所にある「宗通寺の石風呂」を取り上げたことがある。当時の様子は、石風呂全体をツル性の植物がおおい、原形を確認することができない程であった。

 さらに石風呂の周辺となると、夏の時期であったことも影響していたのかもしれないが、足を踏み入れることができないほど荒れていたような気がする。すぐそばにまで竹林と雑木が迫っていたため薄暗く感じられた。

 ところが、今回久しぶりに訪れてみると、様子が一変していた。石風呂をおおっていた植物だけでなく、石風呂の周辺も竹林や雑木がきれいに整備されたことによって、以前とは比較できないほど明るくなっていた。

 さっそく、「安寧山の石仏群を守る会」の人達によって整備された八十八ヶ所巡礼の道を登る。急斜面には、かなり近い間隔で石仏が並べられている。順番が不規則になっているのは、周辺から集められたからであろう。

 約10分で宗通寺の山頂に到着する。ここから八十八ヶ所の巡礼路は、下り坂となって続いているが、安寧山磨崖仏に向かうために巡礼路と分かれ、夏の時期には草木が茂り辿ることが難しいと思われる別ルートに入る。

 塩田小学校の児童が命名した「不思木(ふしぎ)」の木のそばを抜けて、ロープの張られた急な坂道を登る。そして、「あと少し」の案内板に励まされながら進むと約30分で標高236メートルの安寧山の山頂に到着する。

 六十番札所横峰寺の大日如来が刻まれた磨崖仏は、山頂から少し離れた岩壁にあった。木々の枝葉から差し込んだ光線に映し出された仏像には、八十八ヶ所巡礼の「意味と目的と成果」が秘められているように感じた。

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