2026年10月23日(金)

コラム・エッセイ

(65)石灰窯跡

再々周南新百景 佐森芳夫(画家)

 かって、周南市須金にあったとされる石灰石の産地を探してみることにした。しかし、いろいろな資料を調べてみたが、地名が書かれているだけで、場所など具体的な内容を示すものを見つけることができなかった。

 そのため、すぐに調査を開始することはできなかったが、今回は、以前から気になっていた場所を下見のつもりで歩いてみることにした。ところが、思いがけず地元の人から採石場があった場所を聞くことができた。

 道路を進んで行くと、山の斜面に沿って積まれた高さおよそ8メートルの石造物が現れた。その下部には、およそ2メートル四方の穴が開いている。穴はすぐに行き止まりとなり、上部の直径約1メートルの穴に続く。

 円形の穴がレンガで造られていることや周辺の路上に石灰石が落ちていたことなどから、素人判断ではあるが、この建造物が石灰石を焼くための石灰窯(いしばいがま)であり、周辺が採石場になっていたと思われる。

 石灰(せっかい)には、「生石灰(きせっかい、せいせっかい)と「消石灰(しょうせっかい)」の2種類がある。いずれも、石灰岩から採取した石灰石を高温で焼いたもので、生石灰に水を加えると消石灰になる。

 その石灰が、鉄鋼、化学工業、建設など多くの分野にわたって使用されていることは、あまり知られていないかもしれない。驚くことに、肥料など農業で使用されている割合はわずか数パーセント程度であるという。

 おそらく、この場所で生産されていた石灰のほとんどが肥料などの農業用として出荷されていたと思われる。地元の人によると、昭和34、5年ごろまで作業が続けられていたようであるが、詳しいことは分っていない。

 山に入って周辺を詳しく調べたいところであったが、山に入る装備をしていなかっただけでなく、地主さんが分からないため入山の許可も受けることができていなかった。今後も周辺の調査を続けていきたいと思う。

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