2026年10月23日(金)

コラム・エッセイ

(92)唐辛子

再々周南新百景 佐森芳夫(画家)

 「今年の漢字」に「熊」が選ばれた。「今年の漢字」は、毎年この時期の恒例の行事で、世相を表す一字として全国から葉書などで寄せられた中から最も多かった漢字を日本漢字能力検定協会が選んで決める。

 世界遺産の京都の清水寺で貫主(かんしゅ)の揮毫(きごう)によって発表される様子は、テレビなどで報道される。巨大な和紙に毛筆で書かれる文字は、見事と言うほかはなく、師走の風物詩として定着している。

 1位に「熊」が選ばれたが、2位には180票というわずかの差で「米」が選ばれている。3位は「高」、4位は「脈」、5位は「万」、6位は「変」、7位は「博」、8位は「女」、9位は「新」、10位は「初」と続いている。

 これらの漢字の意味については説明するまでもないが、それぞれが選ばれた理由については納得できるものがある。特に、「米」は、米不足によって古米、古古米、古古古米が登場するなど身近なできごとであった。

 とはいっても、「熊」の問題は、米不足以上に深刻であった。これまで人間を襲うことがめったになかった熊が、熊の方から人間に近づいて襲うようになったことは、衝撃的なことであり信じることができないでいる。

 熊が人間を襲うようになった理由については、よくわかっていないのが実情であろう。これまで熊対策として考えられていた熊鈴やラジオの音で人間がいることを知らせるといった方法が通用しない状況になっている。

 また、今まで熊は冬眠するものと思われていたが、その常識さえ見事に覆されるに至っては啞然とするほかない。熊に近づかないのが最善の方法と言われても、何の対策にもなっていない「絵に描いた餅」と言える。

 そこで、熊対策に効果があるとされているのが、クマ撃退スプレーである。効果がないものを含め多くの熊用スプレーがある中で、唐辛子の辛味成分であるカプサイシンを使用したスプレーは効果が実証されている。

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