コラム・エッセイ
【下松】万国旗の中の旧ソ連の国旗
周南漫歩◎地域の祭りで万国旗を見かける機会が多い。透き通った青空にはためく色とりどりの旗は、祭りのにぎやかな雰囲気を大いに盛り上げてくれる。しかし先日、あるイベント会場の万国旗の中に、今はなき旧ソ連の国旗があることに気づいた。
◎それは「労働者階級と農民の団結」を象徴する鎌とハンマー、社会主義を表す星をデザインした真っ赤な国旗。ソ連の崩壊で使われなくなり、後継国家のロシアは帝政ロシア時代の白、青、赤の三色旗を国旗に復活させている。
◎1991年のソ連崩壊から34年。風に揺れる旧ソ連の国旗を見ながら、米ソ対立の「東西冷戦」を思い出した。その冷戦を知る人さえ、今後は少なくなっていくのだろう。
◎秋風に揺れる万国旗は日本の地域のイベントの象徴でもある。太陽や星、月、宗教的なシンボルなど多彩なデザインが、原色の生地の中で波打つカラフルな万国旗のように、世界は平和にならないものか。旧ソ連の国旗を含む無数の国の万国旗が、無言で訴えているように感じた。
(山上達也)
