コラム・エッセイ
9月作品(その三) 席題「書く」中村好徳 選
下松多宝塔川柳会電話よりこっそり書いた金無心 鍵谷珠枝
高額の借用書書き手が震え 末光康英
ペンまでも嘘で煽っていた戦意 有海静枝
芳名録人の前では手が震え 神田鈴佳
もの書きとおだてに乗った末の恥 栗田梧空
川柳の素案チラシへ殴り書き 松永よし子
消しゴムが駄作の山を笑い出し 河村紅衣
都合よいことだけ書いた回顧録 神田すが代
離婚届け書いて入れとく化粧箱 神田鈴佳
手抜かりの遺書書きなおす眠れぬ夜 河村紅衣
書いておく今の記憶が消えぬ間に 有海静枝
終活もそろそろだねと日記書く 中原童士
何枚も書いて上達ラブレター 栗田 梧空
パソコンより手書きの文字があたたかい 末光康英
昔話消しては書いたラブレター 神田鈴佳
嬉しい日日記すらすらペン進む 鍵谷珠枝
浮かんだ句ベッドの中で走り書き 松永よし子
遺言書書いても揉めてまだ逝けず 神田すが代
肩書きが消えて取り巻きいなくなり 神田すが代
(秀)孫からの拙い手紙熱い胸 松永よし子
追伸に熱い思いを書き記す 選者
