コラム・エッセイ
柿
ちょこっと豆知識 立入塾冬枯れですっかり葉っぱは落ちてしまいましたが、まだ実だけが沢山残っている道端の柿の木をよく目にします。昨年の秋は柿の当たり年だったようで、たくさんの柿を食べることが出来ました。さて、「かき」は漢字で書くと「柿(木へんに市)」ですが、よく似た漢字があります。
木へんに巾の上に横棒を一つ引いた「杮」という字で「こけら」と読みます。こけらとは木の削りくずの事で、あまり聞き慣れない言葉ですが、「こけら落とし」は聞いたことがあると思います。新築した建物の(主に屋根に残っている)こけらを払い落して最終仕上げをするというのが本来の意味ですが、もっぱら新しい劇場やコンサートホールで行われる初めての催しの意味で使われます。
大きなホールのこけら落としとなると海外大物スターのコンサートといったイメージがありますが、奈良時代、東大寺の大仏開眼供養(新造の仏像に眼を書き入れ御霊を迎える儀式)では、唐の名僧鑑真を招く予定が叶わず、インドの名僧によって行われました。
供養から遅れること2年、鑑真は6度目の試みでやっと来日を果たし、我が国に多くの知識と文化をもたらしました。日本は、今も昔も海外から新しいものを学ぶ意欲は変わっていないようです。
柿のことからずいいぶんと話が逸れてしまいました。柿の豊作の影響か、昨年秋家の小さな柿の木もたわわとは言えませんが、それなりの数の実をやっとつけてくれました。柿好きだった父が元気だった頃、どこかの縁日の植木市で見つけてきた苗を植えたものです。
何とかこいつの実が食べられるまでは頑張るからと言っていた父ですが、結局願いは叶いませんでした。秋晴れののどかな日、剥いだ我が家の柿の実をたくさん持って父の墓参りに出かけてきました。
「桃栗3年、柿8年、うちの大馬鹿13年。」と笑いながら喜んでいる父の声がその時聞こえた気がしました。
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