コラム・エッセイ
2年ぶりの伯耆大山②
おじさんも頑張る!~山の話あれこれ~ 吉安輝修![]()
標高1300メートルあたりからガスが切れ久々に三鈷峰を仰ぐ
一般に大山に行くというと本峰の頂上とされる弥山(みせん)になるが、南の烏ヶ山(からすがせん)から北の船上山までの峰々をつなぐ長大な尾根と支尾根や谷も範ちゅうで、それらをいろいろアレンジして時間や難易度、体力も加味したコース取りができる。岩あり花ありヤブあり怪しい難所ありの変化に富んだ山歩きを楽しめる魅力ある山域だ。自慢ではないがそれらをほぼ歩いて難度や所要時間などおよそ把握しているつもりだ。
メンバーと合流して一緒に歩くのもいいが、使える時間を目一杯つぎ込んだルートを考えよう。ただ、お昼に大休峠の避難小屋で合流するのは絶対条件として外せない。何しろ「焼肉の準備をして待ってるよ〜」という社交辞令かもしれないお誘いを真に受けている。
ただ、明日は終日雨のようだ。もちろん登らないという選択肢はないが、Nさんの薦めもあり、大山寺から宝珠尾根をたどり三鈷峰を越え、ユートピアから振子山、親指ピーク、野田ヶ山(のだがせん)を踏んで大休峠に至るコースに決めた。ざっくり7時間行程でこれなら心身ともに満足できる。
予報通り朝からの雨。午後から雷雨の予報もあるが標高を下げていれば何とかなると7時ちょうどに歩き出す。時折ザーっと雨脚が強くなるがどうせ汗で濡れるのでカッパは出さずに登る。ガスって視界はほとんどないが標高1300メートルあたりから上はガスが切れ久々に三鈷峰を仰ぐ。ユートピアからは覚悟はしていたが足元が見えない肩までのブッシュに加えて雨で水路と化したルートはズルズルと滑る。崩壊の進む親指ピーク周辺は以前とそれほど変わっていないが、今落ちても誰も見ていないので助けは来ない。慎重に越えた。ただ、横着をして半袖のままで歩いたので、雨でふやけた両腕は枝葉に叩かれてヒリヒリする。
12時ちょうどにドロドロになって大休峠の避難小屋着。おじさん会員達に迎えられ濡れたままだが小屋に上がる。近況報告もそこそこに勧められるままにガスバーナー3台で分業して作った焼肉、焼きそばをご馳走になった。
久々の対面だがブランクは一瞬で埋まる。大御所のMさん曰く「コロナで死んでもいいから今度は山口に行こう…」
歳を取るとつくづく人とのご縁のありがたさを実感することが多くなった。元来が面倒臭がり屋の上に世間の流行り事には全く無頓着で雑談力とかコミュニケーション能力の類は著しく低いことを自覚しているし、最近ではネット上でSNSでの交流が盛んなようだが、見るのも返すのも億劫で関係者との連絡には便利さを感じてもそれ以上のものは意識して近寄らないようにしている。
それでも偶然が重なり意気投合して長いお付き合いに発展し、遠く大山まで足を運んでも待ってくれている人達がいることにささやかな幸せを感じる。
もちろん大がつくほど歓迎してもくれまいが、人生の終盤戦が現実味となった昨今では地縁血縁以外にもこうした繋がりがあることを素直に感謝したい。
崩壊の進む親指ピーク周辺は落ちても誰も見ていないので助けは来ない。慎重に越えた
おじさん会員達に迎えられガスバーナー3台で分業して作った焼肉、焼きそばをご馳走になった
