2026年06月20日(土)

コラム・エッセイ

防災はまちづくり? 《平成30年7月豪雨》〜須金で思ったことⅡ

おじさんも頑張る!~山の話あれこれ~ 吉安輝修

 豪雨災害から2週間が過ぎた。犠牲者は200人を超え、いまだに行方がわからない人も多い。それに道路や鉄道も各所で寸断されている。水道などのライフラインも浄水場が被災したところもあるようで、日常の生活に戻るには相当な時間がかかりそうだ。

 さらに連日の猛暑は復旧作業をより過酷なものにしている。作業中に熱中症で亡くなられるというニュースはいたたまれない。

 この豪雨は過去に例がない、観測史上初めてと繰り返すが、この猛暑続きも各地で高温記録を更新し続けている。連日、熱中症による犠牲者が後を絶たないが、ひょっとしたらひと夏で今回の豪雨災害の犠牲者を上回るかもしれない。

 こうなったら猛暑も重大な災害の一つだ。これらは温暖化が一因で人類の傲慢の結果という説もあるが、これについては別に譲ろう。

 今回の豪雨では須金に暮らす者の1人として河川のはんらんを気にしていたことを前回書いた。外がまだ明るいうちは橋のたもとから刻々と上昇する水位を眺めながら気をもんでいた。幸いにはんらん被害はなかったものの、新たな不安が頭をよぎった。

 錦川には昭和16年に完成した向道ダム。同じく41年に完成した菅野ダム、水越ダムがある。現在5年後の完工を目指して平瀬ダムの建設が急ピッチで進められている。この平瀬ダムの目的は洪水調節とのことだが、岩国市などこの下流域のためのものだ。台風や大雨で錦帯橋の流出など洪水被害があった地域では大きな期待があるのだろう。

 須金はこのダムの上流にあたり、直接の恩恵を受けないからか特別に話題になることは少ないが、一つだけ心配なことがある。この平瀬ダムの完成で、上流の菅野ダムと挟まれることになるのだ。

 それでなくても大雨で菅野ダムが放流すれば川の水位が一気に上昇し、川沿いの民家の足元まで濁流が迫っているというのに…。下流に堰ができるということは、放流量によっては、はんらんするかもしれないという危惧(きぐ)がある。

 ちなみに平瀬ダムの基礎岩盤が標高90メートルだが、そこに高さ70メートルのダムができれば、堤頂の標高は160メートルを超える。須金の標高が170メートルほどだから、その差は10メートルしかないことになるのだ。

 全くの素人考えで計算上ではありえないのかもしれないが、今まで70メートルの標高差があっても恐ろしい思いをしているのに、下流がふさがれるということはそれだけ水の流れが悪くなるのではなかろうかと勘繰りたくなる。

 計算上では影響はないというものの、今回の愛媛県の鹿野川ダムと上流の野村ダムの「異常洪水時防災操作」の放流で多くの民家が浸水し、犠牲者も出たという事実もある。

 管理者はルールに従い操作したというが、想定を上回るとか、記録的な豪雨などという言い訳で下流域の人が犠牲になっても仕方がないというのは納得できない。

建設中の平瀬ダム=下流に堰ができるということは放流量によっては、はんらんする危惧がある

6日午後は水位を眺めて気をもんでいた

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