2026年06月20日(土)

コラム・エッセイ

防災はまちづくり?⑧

おじさんも頑張る!~山の話あれこれ~ 吉安輝修

 ボタン一押しで風呂が沸き、スイッチ一つでご飯が炊けるのが当たり前の時代になった。洗濯機でさえ全自動になって2槽式は店頭から消えた。ふた昔前からみれば夢物語だが、慣れは恐ろしいもので、それらが当たり前となれば特別に便利になったとも思わない。

 それによほどの無茶をしない限り、めったなことで壊れたりしない。家電品は5年間とかの長期保証付きだが、メーカーを問わず品質が安定して向上しているからに他ならない。

 ところがいったん不調になるとどうしようもない。昔はまずは「たたく」という対処法で、不調の半分は解決した。器用な人なら裏ぶたを外して直すこともできたし、部品も汎用品が使えた。今は電源プラグを抜いて「再起動」を試みる。それで復旧しなかったらもうお手上げで、たいていは保証が切れたころにおかしくなるから、高い修理代を払うより買い替えとなる。

 そうなるとますますハイテク化が進み、頼みもしないのに音声で案内するという機能までついてきて、使う方もますます手間いらずになる。

 随分と遠回りをした。本題に戻ろう。大の大人が夢中で取り組んだ「サバイバル教室」。災害時にライフラインがダウンしても何とか現地で調達できるものだけで生き抜く術を探ろうという壮大な目標だが、知恵を出し合えば何とかなる。ヒントは身近にある!という企画担当者の狙いもあったと思う。

 参加者は地区の内外や性別年齢もまちまちだったが、一参加者として末席から眺めると、道具を使いこなせる人が意外と少ないなと感じた。この企画は石器時代の生活を再現しようというものではなく、田舎の民家の納屋を探せば出てくるであろうノコギリやナタといった最低限の道具は用意してある。しかし、どうも使い方を見ていると危なっかしい。

 若い人なら無理もないが、おじさん世代でも他人が使うのを見たことはあっても、自分は使ったことがないという声を聞いた。考えてみれば、高度経済成長期に多くの人が田舎からまちに移り住んでいったが、そのころまちで生まれ育った人はノコギリやナタなどは暮らしに不要な物だったかもしれない。

 それを考えると現役の田舎暮らしというのは心強い。それらの道具はほとんどの家にあるし、使うのが日常だ。仮にライフラインが止まっても不自由や不便はあっても何とかなるという安心感がある。

 発想を変えれば、ローテクの代名詞でもある田舎暮らしは生きるための知恵の宝庫だ。まちから来た若者にタブレットやスマホの使い方では太刀打ちできないが、火をおこして煮炊きをするなど自慢するほどのことでもない。

 「今年もサバイバル教室の企画をしますよ」との話があった。ボタン一つで生活している皆さん。災害に備えて、というより須金のおじさん、おばさんの熟練?の技を見物に来ませんか。

ひと昔前は器用な人なら裏ぶたを外して修理した

田舎暮らしは生きるための知恵の宝庫だ

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