コラム・エッセイ
防災はまちづくり?③
おじさんも頑張る!~山の話あれこれ~ 吉安輝修いざという時のためにお隣の情報を共有し合おうと始めた「防災カード」運動だが、いくら地元愛の強い土地柄でも各人の考え方はさまざまだ。「この歳まで生きてきたんだからいつお迎えがきてもいい」と開き直る人もいるし「放っておいてもろうてええ」と聞く耳をもたない人もいる。これは根気強く啓発し続けるしかない。
一方で、東日本大震災に始まり、県内でも須佐や阿東の土砂災害なども記憶に新しい。身近では大雨の度に発生する倒木や土砂崩れによる道路の寸断も「最近は降り方が違うのお」と決して他人事ではないと危機意識を持つ人は増えている。しかし、住民全員が災害への意識改革ができるまでには長い道のりを覚悟している。
動き出したからには何年かかってもここに住む人すべてがその気になってくれるよう続けなくてはならない。その意味では“自主〟防災組織として課題を共有していることが心強い。「どーせ言ってもつまらん」というマイナスの言葉は出てこない。やはり難産の末に動き出した内発的な取り組みであり、押し付けられて動いているのではないという自負もあるからだと思う。
これも大いに紛糾したが、須金ではもう一つ、新たな取り組みを始めた。防災活動のためには原資が必要で、各戸に寄付を募るという案が出た。また単位自治会に戸数に応じて会費を払ってもらうという意見もあった。しかし誰が集金に歩くのか。出さない家があったら不公平になるのではないかという意見も出る。
確かにその現場が目に浮かぶ。もらうのに文句を言う人はいないが、出すとなれば相当のエネルギーを費やして説得しなければならない。そこで単位自治会に入る市広報の配布手数料から天引きするという方法を思いついた。これならいったん入ったお金を出すという惜しさもないし、手間もいらない。
もっともこれは、もらう方の側の解釈であり、手続きはともかく、出す側の同意は必要だ。自治会長集会で納得してもらってスタートはしたものの、戸数の少ない自治会では「貴重な収入源だったのに…」「使途や収支が目に見えない」などの疑問や注文の声が漏れ伝わってくる。もちろん飲み食いをしている訳でもなく、全くやましいことはないのだが、もう一歩、目に見える形で納得してもらいたい。
そこで周南市の事業でもある避難行動要支援者に対する家具転倒防止器具の設置支援を拡大して須金バージョンを作った。希望があれば須金の全戸に無料で取り付けようというものだ。
阪神淡路大震災で被害者の7割は家具などの下敷きになって逃げ出せなかったという。特に寝ている時は無防備な状態となる。よし、これなら理解してもらえるだろう。一歩前進だ。
さっそく、基準づくりと同時に取り付けのための研修会の開催という流れは早い。
家具が倒れたら、助かる命も助からない
家具転倒防止器具の取り付け研修=初めて電動工具を使うメンバーもいる
