2026年10月17日(土)

コラム・エッセイ

東北急ぎ旅⑭

おじさんも頑張る!~山の話あれこれ~ 吉安輝修

 山口からの同乗メンバーたちも交流会がお開きになったあと「もうちょっとやろう」と仮設の屋台村に足を運び、店こそ違ったが我々と数10メートルの距離で飲んでいた。何でも写真家の村田さんも現れ、一緒に盛り上がったらしい。いやあ、それにしても今回のメンバーはみんな元気が良すぎる!

 一夜明けて、きょうは皆で南リアス線に乗って釜石に行くことになっている。Mさんたちは午後からのフォーラムに参加するために引き返し、大船渡にもう一泊するとのことだ。そのバイタリティはどこから生まれるのだろう。いつも感心してしまう。

 駅舎を勘違いして少しばかりあせってしまったのは田舎者の愛きょうということで笑ってすませてもらおう。無事に釜石までの切符も買えたし、駅の位置関係もよくわかった。間違ってBRT(バス)に乗って反対方向にいくこともないだろう。

 後でわかったことだが、この三鉄の盛駅は「夢ネット大船渡」というNPOが「ふれあい待合室」として運営しているとのことだった。津波被害で鉄道が運休中は駅舎で支援物資の配給をしたり、地域の盛り上げのため拠点的な役割を担っていたらしい。鉄道の復旧後はイベント列車の運行や三鉄沿線の観光地巡りなども企画してきたという。

 お茶の無料サービスも住民や訪れた人にふれあいの場を提供するという心遣いだったのだ。かたわらに置いてあった自由帳には、復興の支援で関わった人や、観光で訪れた人たちからの応援メッセージが書きためてあった。被災した人はもちろん、訪れた人にとっても励みになったことだろう。

 地方の鉄道はどこも苦戦を強いられている。沿線の人口減少で利用客の伸びが期待できない現実がある。廃線や経営分離の話題がつきない中、合理化の名のもとに無人化や減便はあっても、利用者へのさらなるサービスなどは望めない。

 そんな中を地域のさまざまな課題を駅という人々が行き交う場を中心に解決していこうという取り組みは正論かもしれないが、直接、利益につながらないことにエネルギーを投入するなどというのは企業経営的には難しいのが現実だ。

 そういう意味では損得をいわない使命感を持ったNPOならではの取り組みだと感じる。もちろん政策的な経済支援はあったのだろうが、チャレンジしようという人たちがそこにいたから動いたことでもある。そういえば、お茶の接待もだが、売店のおばちゃんとの何気ないやり取りも心温まるひと時だった。

 列車の発車までは少々の時間がある。駅舎を出て振り返れば「ふれあい待合室」の看板やのぼり旗も出ているのに気付いた。

 ちょっと駅前を歩いてみよう。この先に随分と人が歩いているのが気になる。どうやら露店が出ているようだ。近づいてみると、通りの両側に何十もの店が並び、買い物客があふれるほど埋め尽くしている。

三鉄の盛駅=ふれあい待合室としてNPOが運営しているという

盛駅の近くの朝市=通りの両側に何十もの店が並ぶ

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