コラム・エッセイ
東北急ぎ旅⑱
おじさんも頑張る!~山の話あれこれ~ 吉安輝修「鉄のまち釜石」の見どころは多い。駅前の観光案内所でもらった「かまいし鉄の遺産MAP」を眺めると、橋野高炉跡はもちろんだが、鉄の歴史館や鉱山跡、発電所などの見どころも多い。旧釜石鉱山事務所にも多くの資料が展示してあるようだし“近代製鉄の父”と呼ばれる大島高任(たかとう)父子の顕彰碑も見てみたい。
釜石ならではの歴史や遺構に興味は尽きないが、じっくり見れば1日や2日では回り切れないだろう。今回は、行程を考えると残念ながらぼちぼちと腰を上げなくてはならない。後ろ髪を引かれる思いだ。近い将来、ぜひとも再来したいものだ。
ここ、釜石でMさんたちとは別行動となる。わずかな時間ではあったが、狭い車内で濃密な時間を共有したせいか、少しばかり感傷的な別れとなる。Mさんたちは大船渡でもう一泊し、あすから青森経由でいよいよ北海道に渡るという。
我々は寄り道をしながら約300キロを走って夕方には秋田に着く計画だ。広い日本列島だが、張り巡らされた高速道路網や車の性能が向上したお陰で随分と楽に車の旅が可能となった。
釜石から遠野まで北上山地を横切るようにつけられた国道283号線を走る。旧道の仙人峠のトンネルには幽霊が出るという有名な話がある。道幅も狭く、急カーブが連続する難路に死亡事故が多いことからそんな話も出てくるのだろう。現在は全く別ルートの広くて快適なバイパス道となり、事故も激減したことだろう。
そういえば、須々万から徳山までの国道315号線もかつてはカーブが連続する狭い峠道だった。免許を取り立てのころは運転に相当な気を使ったものだ。今は2車線で登坂車線もあり、雪でも積もらない限りあっという間に通過できる。本当に便利で快適な時代になったものだ。
釜石自動車道から東北道に乗り換え、岩手山サービスエリアで一休みする。さっきから左手に見える岩手山(2038メートル)が気になっていた。この山は独立峰でもあり、かなり遠くからでもそれとわかる。眺望スポットにはベンチも設置され、しばし見とれる。
奥羽山脈の最高峰でもあり、南部富士の異名を持つ。その名の通りにどの方角からみても大きく裾を拡げる姿が美しい。この後、八幡平山(はちまんたい)を越えて秋田に向かうが、県境を越えるまで終始追いかけるように見えていた。
ところで、この山越えの道は八幡平アスピーテラインと呼ばれる観光道路だが、終始展望は良好で、なかなか良かった。杉やひのきが植林された展望のない山に囲まれた地で暮らす身では、夢の世界に来たかのような錯覚さえおこす。
ハンドルを握る息子がちょっと寄り道をするといって枝道に入った。何でも、かつてこの地が硫黄鉱山で栄えた時代の建物が残っていて、一見の価値があるという。…目に入ったのは、原野に立つ異様な廃虚群だ。
岩手山サービスエリアから眺める岩手山=ベンチも設置され、しばし見とれる
八幡平を越えて秋田に向かうが、県境を越えるまで終始見えていた
目に入ったのは異様な廃虚群だ
