2026年06月20日(土)

コラム・エッセイ

祖母〜傾山縦走記《ずっと温め続けていた山》

おじさんも頑張る!~山の話あれこれ~ 吉安輝修

 昨年の暮れに「2018年を振り返る」《今年の山登りは…》というタイトルで登った山を振り返ろうとしていた。北アルプスの唐松岳から親不知に向けて縦走予定だったが、荒天のため目的地を急きょ九州の祖母山から傾山の縦走に変更したという話の途中で年を越してしまった。新年を迎え新たなチャレンジが始まろうとしているのに今さら去年の話題を蒸し返すのはどうかとも思ったが、そのまま尻切れになるのも心残りだ。大した値打もないが記憶があるうちに振り返ってみよう。
    ◇
 祖母山(1756メートル)、傾山(1602メートル)は大分県、宮崎県にまたがる祖母傾国定公園の中核となる山々だ。特に祖母山は深田100名山のひとつでもあり人気が高い。山頂直下には今は無人の避難小屋となってしまったがつい最近までは九州の山では珍しく管理人がいた。麓の尾平(おびら)地区にはかつての小学校跡地に運営者は入れ替わるものの登山者相手の宿泊施設もあるほどだ。

 余談だが祖母山の登山口はいくつかあるが、山頂に割と楽に立てるのはこの尾平からの宮原(みやばる)ルートだ。急坂ではあるが黒金尾根のルートを下りに使えば周回コースも設定できるなど人気も高い。祖母山には過去に2回ほどこのルートで登ったことがあるが、出会った登山者にどちらから?と尋ねると、多くは関東圏からでやはり100名山ねらいだった。一方の傾山は祖母山に比べて少し影が薄い感もあるがそれでも訪れる人は多い。

 この祖母山と傾山を約18キロの尾根でつなぐ縦走路がある。山にはまってしまった人は昔からこの縦走路を歩くことが憧れとなる。特別に難しいというわけでもない一般ルートだが、西日本では1600メートルから1700メートルの稜線歩きそのものが希少ということもあり、上畑という集落から障子岩尾根をたどって祖母山に立ち、ショートカットせずに傾山まで縦走して九折(つづら)に下れば40キロ以上のロングコースとなる。さらに累積標高が4700メートルを超えるとなれば多くの山屋はMッ気があるのでたまらなくなるのだ。

 4700メートルといえば上高地から槍ヶ岳を3往復するくらいの登りがあるということと、当然のことながら衣食住は自前なのでそれなりの荷物を背負うことになり体力勝負のコースでもある。

 高校生のころからこの祖母傾の完全縦走を夢見ていたが、何せアクセスが悪い。新幹線も高速道路もない時代で特急や急行など乗れる身分でもなく、朝一番のバスに乗って汽車やバスを乗り継いでもその日のうちに登山口まで着くかどうかだ。優先順位は下がり続けていつしか目標は信州の山だったりアクセスの良い大山や九重になっていた。だが決して忘れていたわけではなく、いつかはとずっと温め続けていたのは確かだ。

「祖母山のふもと尾平には登山者相手の宿もある」

「傾山から眺める縦走路=ずっと温めていたルートだ」

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