コラム・エッセイ
今年も「走れ!おじさん」⑮《向道湖マラソン大会Ⅲ》
おじさんも頑張る!~山の話あれこれ~ 吉安輝修十キロの部のスタート時間が近づいてきた。少しばかり会場の近くをウオーミングアップに走っているので体は軽い。うながされて整列すると、思っていたよりランナーの数は多い。ざっくり百人だろうか。年齢の幅も広く、若い人から我々おじさん(おじいさん)世代まで、まさに老若男女がそろっている。
それに意外と沿道に並ぶ人が多い。走り終えた他の部門のランナーやその家族に合わせて地元の人の応援もありがたい。桜の季節でもあり、気持ち的に華やぐというか、良い意味でのドキドキ感がある。
いよいよスタート。本気組はあっという間に先頭集団を作って先に行ってしまった。その後に長く続く列の中で踏ん張る。コースは折り返しだが、距離調整のためだろうか一キロばかり本コースを外れて枝道の折り返し設定がある。
その枝道に入って間もなく先頭が帰ってきた。かなりのハイペースで、とても太刀打ちできるレベルではない。それでも周囲の集団に何とか着いていこうと普段以上のペースで走る。
向道ダム湖沿いのコースはほとんど高低差もなくフラットで走りやすい。途中に民家が点在し、応援の姿も見えるのだが、やはり中山間地特有で中心集落から離れるにしたがって寂しくなってくる。このコースの先は行き止まりのようで、途中からは民家も見当たらず林道状態になってきた。さらにカーブとアップダウンが連続する。
コースの下見をしていないのでどの程度の登りが続くのか少し不安になるが、ぼちぼち折り返し地点のはずなので帰りの様子は想像できる。下り坂にちょっとだけ強いことは実証ずみで、上り坂を踏ん張ればその先の下りで追い抜けるぞ、などと妄想しながら走る。
前も後ろも見渡せないので順位はわからないが、折り返しても向かって来るランナーがいるので中ほどだろうか。抜かれもしたが抜きもして、広い県道まで戻ってきた。あと二キロだ。振り返ると後ろは百メートル近く離した。息はしっかりと上がっているが、何とかそのまま逃げ切ってゴールイン。
最後の追い込みは多少の無理もしたが、なんと四十五分を切って自分にとってはベストを出すことができた。この記録だけで満足だ。これで半年間のランニングシーズンは終わりだ。弁当とうどんを食べたら帰ろう。
荷物を控室に取りに行くと、奥の方で記録の整理作業をされている。もうちょっとしたら張り出すとのこと、結果を見てから帰るとするか…。
驚いた。なんと、六十歳以上の部で三位だ。生まれてこのかた賞などもらった記憶がないので舞い上がってしまった。表彰式もあり、記念品まで出るという。何だか本物のアスリートにでもなった気分だ。いい歳をしたおっさんだが、首にメダルをかけてもらい、鼻高々だ。
そういえば孫たちの姿が見当たらないが、じいちゃんすごいだろう。いや「おじさんも頑張る!」だ。
各部門の入賞者に表彰がある。60代の部は最後だ
首にメダルをかけてもらい鼻高々だ
冥途の土産の一つにしよう
