コラム・エッセイ
今年も「走れ!おじさん」⑭《向道湖マラソン大会Ⅱ》
おじさんも頑張る!~山の話あれこれ~ 吉安輝修ちょっと寄り道をする。向道湖マラソン大会は今回で六十一回目という歴史と伝統のあるレースだ。これはすごいことだ。半世紀以上も継続して開催し続けているのだ。
六十一年前といえば昭和三十一年。終戦後のどん底だった日本経済が、先人たちの踏ん張りで戦前の水準を超え、さらなる近代化に向けて成長、発展を夢見たまさに右肩上がりの時代だ。「神武景気」だ「岩戸景気」だと日本中が色めき立っていた。「もはや戦後ではない」が流行語だった。
向道湖マラソン大会がどんな経緯で始まったのかは知らないが、いずれにしても当時の大向地区が隆盛を極めていたことは察しがつく。これをわがまち須金に重ねてみれば、商店は軒を連ねて人出も多く、バスも満員で走っていたのを思い出す。
しかし、半世紀のうちに大向や須金に限らず日本中の地方はすっかり様子が変わってしまった。その盛衰や変遷を目の当たりにし、地域の中でのさまざまな行事を継続していくエネルギーと人材確保の難しさを実感する。
その意味では、今日まで六十一回も継続されていることは尊敬に値する。世代を超えて守り抜く底力が大向地区にはあるのだろう。ここまできたら百回を目指してもらいたいものだ。残念ながら四十年も先ではこの目で見ることはできないが、日本でも有数の歴史ある大会になるに違いない。
向道湖マラソン大会は一・五キロの小学低学年の部から十キロの男女年代別の部、さらに「雲海と棚田が見える丘ウオークの部」まで十五部門が用意されている。最初にスタートを切るのは五キロの部で、十時に号砲。
十キロの部のスタートは一時間以上もあとで、その間に中学生や小学生の各部が続く。多くの部門を分刻みでスタートさせている。進行も混乱しそうだが、さすが歴史ある大会。よく計算された手順が引き継がれているのだろう。感心するぐらい手際が良い。
沿道で先にスタートしたちびっこたちの力走に声援を送る。「最近の子はゲームにばかり興じて…」という話も聞くが、真剣な眼差しで駆ける姿は一種の爽快感さえ覚える。もちろんマラソン大会に出るなど一〇〇%子どもの意思でもないだろう。早ければ注目もされるが、あえてマラソンなどという地味で苦しい機会を与える親御さんにも拍手だ。
ちびっこたちが走る合間に十キロの部に出るランナーがウオーミングアップを始めている。特に気にはならないが、ぼちぼちと走ってみよう。いつもこの加減が難しい。あまり早くから始めると力を使い果たしてしまうし、時期を逸するとウオーミングアップにならない。真冬のように震えるほどではないし、十五分も走っておけばいいだろう。
そういえば孫たちがじーちゃんの運動会へ応援に来るといっていたが、まだ姿が見えない。迷うような場所でもないのだが…。
ちびっこたちの力走=真剣な眼差しで駆ける姿は爽快感さえ覚える
10キロの部ランナーのウオーミングアップ
