コラム・エッセイ
静かに、しかも突然に…
おじさんも頑張る!~山の話あれこれ~ 吉安輝修毎年6月の最初の土曜日と日曜日に伯耆大山で夏山開き祭がある。今年は6日と7日だったが、山口県民でありながら鳥取県の山岳会、米子登攀俱楽部のメンバーとなって久しく安全登山のパトロール要員としてお声がけを頂いた。
パトロールは日曜日だが、会員で山岳ガイドでもあるN氏の管理する山小屋で恒例の前夜祭と称した飲み会がある。老若男女、レベルの差はあっても山好きの集まりとなれば話題に事欠かないというか尽きないのは行く前から分かる。
須金の梨農家、五郎丸農園園主の高橋君も同じく米子登攀俱楽部の会員で、四季を通じてよく一緒に山歩きをしているが、何がきっかけだったかは記憶にないがマラソン大会やトレランレースにも一緒に出掛けている。歳は一回り近く若いが、よくこんな年寄りに構ってくれるもんだと感心するし有り難い。今回も高橋君の車に同乗して昼過ぎに須金を出発。運転を代わりながら中国道を4時間半近く走って大山寺に到着。既に宴は始まっていて大盛況だ。
ところで、大山には数えるのも面倒なくらい通い夏山開きに合わせたパトロールにも何度も出ているが夏山開き祭の目玉行事のたいまつ行列は一度も見たことが無い。何でも1500人の人がたいまつを持って大神山神社から約1㎞の参道を下りてくるというものでなかなか壮大で見応えがあるというが、いつもは酒を飲んでいるか、深夜に着くかで見物しそこなっていた。今年は何とか見ようと尻に根が生える前に立ち上がって外に出た。
まずは人の多さにたまげた。見物するなら大山寺の鳥居のあたりが良いと聞き、人をかき分けてとまではいかないものの人の群れに紛れ込んでぞろぞろと進む。日頃は自分を入れても片手程の人としか接することがない田舎者には少々刺激が強い。まだかまだかとじらされてたいまつ行列がやってきた。これでもか、まだ来るかという程の大行列は確かに見ものだ。荘厳とか神秘的とかの感覚は無かったがあれだけの炎の列を眺めたのは人生初で、すっかり観光客の一人になっていた。
パトロール本番。八合目から上は小雨混じりの強風いう荒天だった。多くの登山客で大渋滞し何度も立ち止まる。半袖半パンという気になる装備の登山者にも出会ったが事故も無く下山した。
実は、新年早々に右膝の激痛で普通に歩けなくなった。湿布とサポーターで何とかごまかしていたが改善せずに整形外科を受診した。左ひざは正常だが右膝はいわゆる軟骨が無くなっているとのこと。加齢と外傷性のものらしいが治療のしようがないとのこと。次は人工関節だと言われてへこんでしまった。それから半年。マラソンも山歩きもご法度の日が続いていたが、何とか痛みは取れてきて、無謀かもしれないが大山に足を向けたという顛末た。老いというのは静かに、しかも突然にやって来るんだなあと考えながらの大山となった。
米子登攀俱楽部のメンバーとの前夜祭
荘厳とか神秘的といった感覚はなかったが…
頂上まで行けた。内心は六合目あたりでリタイアするかもと…
