2026年08月22日(土)

コラム・エッセイ

「ほぼ酷暑日」

おじさんも頑張る!~山の話あれこれ~ 吉安輝修

 気象庁は今年から気温が40度以上になったら「猛暑日」の次の段階の「酷暑日」にすると発表した。早速各地で連日のように「酷暑日」が続いている。公式ではないが、ここ須金の気温も恐ろしいほど上がり我が家の庭先にかけてある寒暖計は39.5度を指す日もあり「ほぼ酷暑日」だ。日陰で僅かでも風が吹けば体感温度は下がるのだが、午後からの強烈な炎天下でジリジリと焼かれるとサウナどころかオーブンの中にいるようだ。

 そんな状況下で作業のきりが悪く、もうちょっと、もうちょっと・・・と、無理をして草刈りをしていた。さすがに根性だけでは耐えられなくなって左手で草刈り機のエンジンを止め、右手で握っているグリップを離そうとするが手が開かない。左手で何とか指を一本ずつ伸ばすが、今度は伸ばした指が開いたまま攣(つ)って固まってしまった。左手で何とか曲げようと試みるが、今度は指先から手首のあたりまで動かなくなった。何とか事なきを得たが、素人でも熱中症の症状だとわかる。

 水分は取っていたつもりだが、明らかに脱水だ。それにエンジンの振動が伝わるグリップを長時間同じ形で握り続けていたのも悪い。天気予報で連呼する「屋外の作業は危険」というのを半分他人事のように聞き流していたが、この尋常でない暑さは人が普通に活動できるレベルを超え、年寄りにはもう限界だと思い知った。

 昨年は猛暑と極端な降雨不足で畑の作物が悲鳴を上げていた。運搬車にタンクを積んで潅水もしたが、焼け石に水で気休め程度にしかならず、植えて数年目の若いユズの勢いが日々悪くなり、常緑樹でありながら葉が黄色く萎れてしまい瀕死状態となった。その反省から冬の間にパイプを敷設し、中継のタンクとポンプを据えて直接潅水できる設備を整備した。本管から分岐する枝の配管まで入れると400メートルを超えたが、とうとうプロの設備屋さんの力を借りずに子や孫を動員して何とかこの夏に間に合わせることができた。

 先日も夏休みで帰ってきた子供家族が潅水の手伝いをしてくれたが、暑い時だからこそ水しぶきがかかるような仕事はかえって気持よくて飽きない。

 それに放牧中で舌刈をする牛たちも頑張ってくれている。お蔭で随分と草刈りに関しては完璧ではないが大いに省力化できている。しかしこの炎天下では黒い毛皮をまとっている牛たちにとっても「ほぼ酷暑」は大いに堪えるのだろう。さすがに午後は日陰に逃げ込みじっとしている。午前と夕方から日没までは辺りが見えなくなるまで頑張って草を食べている。有り難いことだと率直に思う。

 夏空を見上げ、庭に打ち水をして縁側でスイカを食べるという田舎の夏の風物詩は今の子どもたちにとっては昔話の世界となった。それでも大汗をかいて草刈をしてスッキリし、牛たちが「ほぼ酷暑日」でも草を食み、子や孫と水を撒いて元気に育つ作物を見れば山暮らし田舎暮らしも悪くないなあ・・・と。

39度を超える日もある「ほぼ酷暑日」だ

昨年の反省から潅水設備を完成させた

牛達も舌刈で除草に活躍してくれている

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