2026年04月30日(木)

トップインタビュー

地域力を見せたい

下松商工会議所会頭 弘中伸寛さん(72)

PROFILE

ひろなか・のぶひろ
1947年下松市生まれ。山口大文理学部卒。
2008年から下松商工会議所会頭。弘木(ひろもく)工業(下松市)社長。

下松市は日立製作所笠戸事業所、東洋鋼鈑下松事業所をはじめとする企業が立地し、関連企業の裾野も広く、経済活動が活発な印象を受けます。
 その側面は確かにありますが、現状はそう単純ではありません。商業で言うと、JR下松駅南の地元商店街はシャッターの下りた店、空き地が目立ちます。
 商店街活性化を図るリジューム事業が1991年度に始まり、商店の建て替えが進みましたが、後継者難を解消できず、結果的に店の経営継続につながりませんでした。空き店舗に新規参入者を受け入れる事業にも取り組みましたが、私有財産権の壁があって十分な成果を上げられませんでした。
 93年に中央町に開店した大規模商業施設「ザ・モール周南」(現ゆめタウン下松)の影響は大きかったと思います。下松市の小売店の全売り場面積の85%を大型店が占めます。全国的にも高く、深刻に受け止めています。
工業はどうでしょう。
 日立製作所と東洋鋼鈑の存在は言うまでもなく大きい。地元企業の大半は何がしかの形で取引があります。両社を抜きに下松の地域経済は語れません。
 ただ、地元企業は基本的に下請けですから親会社の業績に左右される構造的な課題を抱えています。日立製作所は目下、海外向け鉄道車両製造が好調で地元企業も元気ですが、未来永劫(えいごう)とはいきません。人手不足の問題も大きく、経営者の一番の悩みのタネになっています。
工業界も内実は厳しいのですね。
 下松は「モノ作り」の町です。モノ作り産業は金融、ITビジネスなどの台頭によって評価の落ちた時期がありましたが、近年は見直され、追い風になっています。
 鉄道車両製造は機械化が進んだと言っても手作業の部分が結構あり、技術者が育つ土壌があります。「現代の名工」を下松市から多く輩出しているのはその表れです。技術力の向上でクリーンヒットはなかなか打てません。小さな改善を地道に積み重ねるべきです。
地域活性化に向けて商議所として何をすべきだと考えますか。
 交流人口を増やしたいと思っています。「よそ者」の目は地元の人間が気付かない地域の魅力を再発見してくれます。そのために手始めとして他地域から人を呼ぶイベントに力を入れています。
 「くだまつ笠戸島アイランドトレイル」は全国的なイベントに育ち、参加者の半数以上が他都道府県の人で占めます。7月に開催予定の鉄道車両の道路輸送イベントも日本中から人が集まります。大型客船「ぱしふぃっくびいなす」号の誘致にも成功しました。
 イベントを一過性の盛り上がりに終わらせず、継続させる必要があります。そうしないと交流人口の増加につながりません。地域活性化は行政が旗を振っても商工業界が音頭を取っても住民が立ち上がってもそれだけでは実効性は上がりません。地域全体が一丸にならないと実を結ばないと思います。
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