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経済 : 周南市のニュース
【周南市】日本精蠟が30億円調達 同時に減資、財務改善急ぐ
経済周南市山口県周南市大島に生産拠点を持つワックス専業メーカー、日本精蠟㈱(今野卓也社長、東京都)は、24日(火)、投資ファンドのジャパン・インダストリアル・ソリューションズ(JIS)から資本性劣後ローン30億円を調達する。同時に資本金などを減額し、減額分で損失を補てんする。
ロシアのウクライナ侵攻に起因する原料価格の高騰に国内販売の価格改定が追い付かないこと、輸出売上の急激な減少などで、同社は2022年12月期決算で23億6,800万円の最終赤字を計上。今年6月までの中間決算は12億9,700万円の純損失で、財務基盤強化と収益力強化が急務となっている。
今回調達する資本性劣後ローンは返済順位が後回しになる借入金。貸借対照表では通常の借入金と異なり負債ではなく自己資本と見なされるため、金融機関による財務査定が有利に働く。同社は調達資金で、収益力増強のための高付加価値製品の製造販売に向けた設備改造、新製品開発、人材投資などを遂行する。
JISは㈱トクヤマや曙ブレーキ工業㈱への出資など、企業再生に多くの実績がある。今回の借り入れと同時に、日本精蝋はJISに第三者割当方式で新株予約権を発行。5年後の劣後ローン満期日までに返済がない場合、JISによる新株予約権の権利行使で劣後ローンは借入金から正式に自己資本に置き換わり、JISに株式が割り当てられる。
資本1億円で中小優遇税制
24日には、現在の資本金11億2千万円を10億2千万円減少して1億円に、資本準備金1,411万8,724円を全額減らして0円とする。減少する資本金と資本準備金の合計額10億3,411万8,724円で、利益剰余金の欠損を補てんする。6月末の利益剰余金は23億7,800万円のマイナス。
資本金1億円以下の企業は税法上の中小企業に位置付けられ、様々な優遇措置がある、同社は、税制のメリットも生かし財務体質の早期改善を図る。
新株予約権の発行、資本金と資本準備金の減少はいずれも、18日(水)の臨時株主総会での承認が条件となっている。