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【下松】小学生の声、国を動かす ごみ散乱の国道花岡PAがきれいに
地域下松市武居さん(下松小5)の取り組みで警告看板
小学生の声が国を動かす―ありとあらゆるポイ捨てのごみが山積みになって異臭がただようまでになっていた下松市南花岡の国道2号花岡パーキングエリア(PA)が、今や見違えるほどきれいになっている。市内の小学5年生がゴミの詳細を1年がかりで毎月記録し、母親の知人を通じて国土交通省山口河川国道事務所に訴えたことで、国交省が下松警察署との連名で警告看板を立てたためだ。小学生の地道な取り組みが国を動かした。
(山上達也)
家族3人で毎月清掃、写真で記録
この小学生は下松小5年の武居諒真(りょうま)さん(11)。一昨年9月に母親の良子さん(45)の車でたまたま通りかかった同PAのふちにゴミが山のように積み上げられているのを見て心が痛んだ。同PAは長距離トラックの休憩場所によく使われている。目の前を走る山陽新幹線との間を隔てるフェンスには大量のつたが絡まって景観を害していた。
以後、諒真さんは、良子さんや姉の下松中3年、莉奈さん(15)と一緒に毎月、同PAにごみ拾いに訪れた。どんなごみが落ちているかを撮影し、ごみの種類や数量をスケッチブックに書き込んだ。フェンスのつたを切る作業も体験した。
ごみには尿や人糞、酒やビールの容器も
しかしゴミの実態は想像を絶するものだった。黄色い液体が入っているペットボトルの中身は、実は人間の尿で、諒真さんは「最初はお茶の飲み残しと思ってふたを開けて中身を捨てようとしたら、とんでもなく臭いオシッコだった。ぞっとした」という。もっとびっくりしたのは人糞の入った透明のビニール袋が捨てられていたことで、良子さんも「どこでどうやって大用を足したのか。モラルを疑う前に不思議でならない」という。
さらに不可解だったのはビール、日本酒、焼酎の空き缶や空きパックのごみが多かったことだ。ドライバーが車内で休憩中に飲んだものかもしれないが、諒真さんは「車を運転する人がお酒やビールを持ち歩いたり、空き缶やパックを捨てることが理解できない。もし飲酒運転をしたら違反だし、危ない」と首をかしげていた。
このほかにも、たばこの吸い殻、弁当がら、カップめんの容器からCDプレーヤーのような家電製品まであらゆるごみが打ち捨てられていたという。
武居さんの課題研究に国交省動く
諒真さんたちのごみ拾いと観察は昨年7月まで続いた。6月には3月にSDGs宣言をした山田の濱田工業(濱田幸弘社長)がSDGsに共鳴する多くの企業と一緒に清掃作業を展開し、諒真さんたちの活動の追い風になった。
諒真さんの観察の記録と写真は「まて!! そのゴミ」のタイトルをつけて、下松小の夏休みの課題研究として提出。さらにそれを良子さんの知人の市議が国土交通省山口河川国道事務所に持ち込んで、ごみが捨てられないための対策を要請した。
その結果、11月に国土交通省と下松警察署の連名の警告看板2枚が現地に立てられた。看板には「ポイ捨て禁止!」「ゴミを捨てた人は5年以下の懲役もしくは1千万円以下の罰金に処せられます」の文字がイラストと共に書かれている。
この看板の設置をきっかけに、ここに捨てられるごみは激減。しかし少量ながらポイ捨てごみは後を絶たず、12月29日に本紙が現地で取材した時も「ペットボトル入りオシッコ」や「ビニール袋入り人糞」が同PAに捨てられていた。これらはモラル上はもちろんのこと、衛生的にも最悪のごみだ。
武居さん「運転手さんはマナー守って」
諒真さんは「母と姉との毎月のごみ拾いは大変だった。汚いし、臭いし、どうして平気でごみをポイ捨てできるのか、気持ちがわからなかった。草やつたがあると、ごみが捨てやすくなることもわかった。ごみが捨ててあると同じことをする人が増えるし、減ると捨てにくくなるのだと思った。ポイ捨てを減らすためには、いつもきれいな場所にしておくことと、運転手さんにマナーを守ってもらうことが大切だと感じた」と話していた。
濱田工業の濱田社長も「定期的なボランティア清掃活動はこれからも続けたい。私たちの活動が諒真さんたちの取り組みのお手伝いになったのなら、とてもうれしい」と思いを込めていた。
花岡PAに放置されていた「尿入りごみ」
花岡PAでごみを拾う武居さん親子
