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【周南】[周南公立大]術後「せん妄」のVRを開発 松浦教授が普及へ研修会
地域周南市「せん妄」は手術のあとの意識障害で、時間、場所、自分が誰かわからなくなる、妄想にとらわれる、はいかいや大声、幻覚などの症状がある。
周南公立大学人間健康科学部看護学科の松浦純平教授(51)は看護師などの医療従事者がこの症状を体験できるバーチャルリアリティ(VR、仮想現実)の技術を世界で初めて開発した。22日に徳山駅前賑わい交流施設で開いた体験研修会には他県の看護大学の教員など5人が参加した。
松浦さんは看護師として病院に勤務したあと大学院に進み、15年前から「せん妄」について研究。大阪電気通信大学大学院で博士号を取得。せん妄のVRは3年ほど前から同大学と共同開発してきた。昨年4月に周南公立大学に着任し、市内の病院で看護師を対象にした研修会を開いてきた。
せん妄の患者は幻覚を訴えたり、幻覚が原因でベッドの上から逃げようとするなどの行動があり、身体拘束につながる場合もある。このため、看護師が症状を疑似体験することで、患者が置かれている状態を理解し、身体拘束に苦しむ患者をなくそうとVRを開発した。
VRで体験できる幻覚は、天井にたくさんの小さな虫が這いずり回っている、兵士が襲ってくる、天井が下がってきて押しつぶされそうになるというもの。
研修会は周南公立大と松浦さんが代表社員の合同会社JMラボの主催で、松浦さんが講師。看護師や看護学生にVRを体験してもらい、体験後は患者に寄り添う気持ちが強くなるという自身の研究も紹介した。
このほか、松浦さんは病室から手術直前までの患者の目線を撮影した3D映像も製作。手術前に患者に見てもらうことで、何が起こるかを知り、せん妄の予防に結びつける。
松浦さんは「せん妄患者が経験している世界を疑似体験することで看護が変わる」と話し、疑似体験研修の普及を進めている。
