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【周南市】住民の協力得て繁栄 山陽新幹線徳山駅50周年
地域周南市周南市の山陽新幹線徳山駅は10日、開業50周年を迎えた。
大阪府の新大阪駅から福岡県の博多駅間を走る山陽新幹線は、1972年3月15日に新大阪から岡山県の岡山駅間が開業。75年3月10日に岡山駅から博多駅までを結んで全線開通した。
徳山駅の始まり
徳山駅は元々、山陽鉄道の広島駅から徳山までの終着駅として1897年に開業。
1945年の太平洋戦争末期、徳山大空襲で徳山の市街地は焦土化したが、徳山駅は奇跡的に姿を残し、その後20年以上使われた。
新幹線の計画始まる
東海道新幹線が開業し、山陽新幹線の建設計画が進む60年代。当時、1県1駅とされていた新幹線の停車駅には候補地だった徳山、岩国、小郡に加え、防府も名乗りをあげていた。
徳山駅への停車が決まる前の69年9月には山陽新幹線誘致を見越して民衆駅の「徳山ステーションビル」を新設。香月堂や曽呂利、たわらなど40店舗近い店が入っていた。
国鉄は同年11月に県内の停車駅を岩国、徳山、山口、下関の4カ所に決定。市内ではすぐに新幹線通過予定地の自治会に説明会が開かれた。
反対運動や訴訟も
建設のための用地買収にあたり、久米地区と西松原地区では反対運動が勃発。予定路線の変更を要求し、市長が国鉄に善処を申し入れることで一旦は話し合いを終えて、71年2月には新幹線建設工事がスタート。
都市計画事業に基づいて他地区から約300戸が移転してきた西松原地区では、地区内の550メートルにわたって新幹線が高架で斜断することがわかり、おどろいた住民らが73年に行政訴訟を起こした。
さらに久米地区では新幹線工事で井戸が枯れて市の上水道をひくことに。他の地区でも新幹線の高速試運転が始まると線路から14メートルの場所の住民から衝撃波や騒音で「庭先はまるで竜巻のようだ」と苦情が出るなど、各地でさまざまな問題が起きていた。
市街地はお祭りムード
市は独自の緩衝緑地帯をつくることや、国鉄とともに対策をすると約束して住民たちの協力を獲得。開業が近づくと駅前では祝賀イベントの準備でお祝いムード一色になった。
徳山地区から3千人が招待された新幹線試乗や、チケット予約に希望者が殺到するなど大賑わいを見せた。開業後1週間で5200万円の収入があったという。
◇ ◇
山陽新幹線開通後も自動改札機の導入、新しい跨線橋や南北自由通路の利用開始、駅前再開発などで変わり続ける徳山駅。
最近では「のぞみ」の減便もあったが、これからも新幹線が止まり、進化し続ける駅であってほしい。