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【山口県】[周南市・下松市・光市]独自のポスター制作も 地道な啓発、決め手なし なぜ下がる投票率
政治その他統一地方選では県議選に続き、周南市長選、市議補選、衆院山口2区の補選があった。県議選では周南3市で唯一、投票になり激戦が繰り広げられた周南市区の投票率は40・84%だった。衆院補選は光市と周南市熊毛地区は40%台だったが、下松市は30%台。周南市長選、市議補選も30%台にとどまった。各市選管は選挙期間中や日常から選挙の大切さを伝える啓発活動に取り組んでいるが、投票率を向上させる決め手は見つかっていない。周南3市に啓発活動の実情を聞いた。(延安弘行)
3市に共通しているのが小中高校生からのポスターなど明るい選挙啓発作品の募集で、県のコンクールもある。周南市では、今回の市長選に向けて寄せられた作品を使ったポスターを手づくりで50枚作り、公共施設にも張り出した。
選挙期間中の広報車による呼びかけも共通。周南市は本庁の2台と総合支所の車両を合わせて5台体制で取り組んだ。下松市は1台で、平日の夕方と土、日曜は午前、午後に市内を巡った。光市は2台で平日、市内を回った。
横断幕などは光市ではコミュニティセンターなど10カ所に掲げ、のぼり旗も立てた。下松市も市役所など2カ所に横断幕と各公民館に看板を立てた。周南市は、横断幕は本庁舎に掲示する場所がないこともあって掲示していない。代わって市役所のシビック交流センター前や徳山駅南北自由通路のデジタルサイネージを利用した。
通常の啓発活動で3市共通で取り組んでいるのが小・中・高校の生徒会選挙や模擬投票への投票箱、記載台の貸し出しと高校生などへの出前講座。
周南市では昨年度だけで11校に投票箱を貸し出した。出前講座は昨年4月に桜ケ丘高で模擬投票と共に実施した。下松市でも投票箱を下松工高や中学校に貸し出した。光市は中学校5校が投票箱の貸し出しを利用した。出前講座はコロナ禍で中断した形だが、今後、復活させる可能性もある。
独自の取り組みも
光市では昨年7月の参院選では選挙権を得たばかりの高校生3人が土、日曜を利用して期日前投票の立会人を務めた。通常は住民団体などを通じて依頼する場合が多いが、選挙に親しみを持ってもらおうと導入した。
投票日以外の選挙期間中の日に投票できる期日前投票に訪れる人が各市とも増えているが、周南市では常設の本庁と鹿野、熊毛、新南陽総合支所に加え、18日の1日だけだが15カ所の各支所で実施した。
今回の統一地方選では、明るい選挙推進協議会の活動として徳山動物園でチラシを配る街頭啓発にも取り組んだ。しかし、期日前投票の会場を増やしても投票数全体の増加に結び付くかどうかは未知数だ。
今後、今年中に予定されている選挙はないが、来年は4月に下松市長選▽6月ごろに周南市議選▽10月ごろに光市長選と市議選がある。下松市選管の原田克則事務局長は「地道に啓発し、政治に対する意識を高めていくしかない」▽光市選管の松村保志事務局長も「現状では方策がない」と話し、投票率向上へ模索を続けるしかなさそうだ。
自由な選挙は民主主義の根幹。周南、下松市では最も身近な市議、市長選でも半数以上の有権者が棄権しているが、この状態が望ましいものであるはずはない。以前は県選管も協力して旧徳山市など県内各地で若者が社会や政治について学ぶ連続講座「青年法政大学」が開かれていたが、現在は市選管が関係した講座、研修会などは開かれなくなっている。
明るい選挙推進協議会など市民団体の協力で市議会、県議会を傍聴するなど研修会や、市教委が開いている子ども議会、1月の「20歳のつどい」などを利用した呼びかけ、市民が政治について考える機会の提供が求められそうだ。