2021年11月30日(火)

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小規模高齢者施設の入所者の投票権は? 3市の88施設にアンケート 郵便投票の要件緩和施設巡回投票要望

 施設内に不在者投票所を開設できない定員50人以下の小規模な高齢者施設の選挙の投票権はどう保障されているのか―新周南新聞社は周南3市の小規模高齢者施設88施設に入所者の投票の実態や施設の考えを聞くアンケートを実施して、到着が確認された84施設のうち38.1%に当たる32施設から回答を得た。回答の集計から浮かんだ課題を検証する。(山上達也)

 回答した施設はグループホーム、サービス付き高齢者住宅、有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、地域密着型特別養護老人ホームなどさまざま。定員は9人から55人までと施設によって違う。

「コロナ感染防止と投票権の両立可能」

 設問(別表参照)に対する回答で目を引いたのは「コロナ禍において入所者が選挙の投票を希望した場合、貴施設ではどう対応していますか」の問いに7施設が「コロナ禍なので期日前投票、選挙当日の投票とも遠慮してもらっている」と答えたことだ。

 改善策では16施設が、現状では要介護5の人にしか認められていない郵便投票の要件緩和を求め、10施設が選管職員が小規模施設を巡回して投票を受け付けてくれることを望んでいる。

「重度、軽度問わず認知症者の投票権保障を」

 自由回答欄には多彩な意見や要望が寄せられた。家族の意識について「コロナ禍の現在に限らず、投票に対する家族の意識が低いように思われます」と言及したり「認知症対応型共同生活介護事業所であり、本人の意思決定が望めない。申し出があればキーパーソンに連絡し対応する」と認知症を持つ人の対応の困難さも見える。

 投票自体は「筆記具の消毒を徹底していただければ幸いです」「感染チェック、予防をすれば選挙の投票は可能だと思います」と前向きな意見も多い。

 コロナ感染者が出た施設からは「当施設で職員がコロナに感染して対応は本当に大変でした。1人の感染によってすべての高齢者の生命を危険にさらすことになるため、苦慮しています。郵便による投票や期日前投票の扱いで各施設を選管が投票箱を持って回るなどのくふうをしてほしいと思います。重度、軽度に関わらず認知症がある方の投票権について考えることが必要と思います」と問題提起をしている。

 入所者の投票権の保障は行政側の大きな課題だ。柔軟な対応を求める声が多く寄せられた一方、投票の要件を緩和し過ぎると不正投票の温床になる可能性もあり、慎重な対応が求められる一面も残している。

 小規模高齢者施設へのアンケートの設問と回答

 1.貴施設では選挙の際、入所者の投票権にどう対応していますか

 A.選挙があることを入所者に知らせて投票の希望の有無を聞いている 9施設

 B.選挙があることは知らせていないが入所者から投票の申し出があれば対応している 14施設

 C.選挙があることは知らせていないし入所者から投票の申し出があっても対応していない 1施設

 D.その他 5施設

 2.コロナ禍において入所者が選挙の投票を希望した場合、貴施設ではどう対応していますか

 A.職員が期日前投票所または選挙当日に投票所に送迎している 5施設

 B.家族に期日前投票所または選挙当日に投票所に送迎してもらっている 15施設

 C.コロナ禍なので期日前投票、選挙当日の投票とも遠慮してもらっている 8施設

 D.その他 1施設

 3.コロナ禍で入所者の投票環境を改善できるとすれば、何を希望しますか

 A.小規模施設でも施設内で不在者投票ができるようにしてほしい 8施設

 B.郵便投票の要件を緩和してほしい(現在は要介護5のみ) 17施設

 C.選管の職員が小規模施設を巡回訪問して投票を受け付けてほしい 10施設

 D.その他 1施設

 4.コロナ禍と投票権の兼ね合いはどうお考えですか

 A.現状でもコロナ感染防止と投票権の両立は可能だと思う 21施設

 B.現状では両立は困難で、投票権よりコロナ感染防止が優先されるべきだと思う 9施設

 C.現状では両立は困難でも、コロナ感染防止より投票権が優先されるべきだと思う 0施設

 D.その他 0施設