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記者レポート : 周南市のニュース
【周南市】ケアマネジャー、すでに現場は悲鳴!? 市「適切に対応できている」と認識にズレ?
記者レポート周南市周南市の市議会12月定例会で、西尾孝夫議員(市民の会)のケアマネジャーなど介護人材の不足に関する一般質問への答弁で、藤井律子市長は、「適切に対応できていると考えているが、今後の高齢化の進展を踏まえると、介護人材の確保は重要」と答弁。執行部は来年度に調査し、そこから対策を検討するという。
介護人材不足が全国的に課題となり、対策に積極的に取り組む市区町村もある。同市においても将来ではなく、すでにケアマネジャーが不足しているが、対策が間に合うのか、不安を感じる市民もありそうだ。
西尾議員の質問はケアマネジャーの人数に比して仕事が多すぎて「ケアプランを作り切れない」という声に基づくもの。市内の居宅介護支援事業所で取材しても同様の声を聞く。どこの事業所も引き受けてもらえず、地域包括支援センターが手の空いている事業所、ケアマネジャーを探さなければならない場合もある。
利用者のためにもケアプランを作らないわけにはいかず、連日の残業など、ケアマネジャーが無理をして引き受けている状況が推測できる。
一方で、収入が多いわけではなく、ケアマネジャー自身の高齢化や仕事量の増加で、別の仕事に移っていく人もいるという。「適切に対応できている」とはかけ離れた実状が見えてくる。
調査手法もこれから
各市では3年ごとに「高齢者保健福祉計画及び介護保険事業計画」を策定。現在は24年度から26年度までの3年間の計画で、周南市では「周南市高齢者プラン」としている。
この中で人材の確保策として「介護福祉士として市内の介護サービス事業所に就職する者に対する金銭的な支援について調査検討を行う」と記述している。
一般質問の答弁の調査はこの検討のためのもの。答弁で執行部は「介護人材の不足のデータは現時点では持っていない」と述べ、対策をとろうにも現状把握も不十分なことを明らかにした。
この調査も、現時点では、調査対象を事業所にするのか、ケアマネジャーにするのかも「検討中」。実施は2025年度中でそれから結果をもとに施策を検討する。「金銭的な支援」などの実施はその先になりそうだ。
光市は中小企業人材定着・定住支援補助金
ケアマネジャーは5年ごとに研修の受講などの更新手続きが必要で、約5万円の費用がかかることも課題になっている。全国的にこの更新費用を助成する動きもある。光市ではケアマネジャーに限らず、介護分野の研修費などを経済部商工振興課所管の中小企業等人材定着・定住支援補助金の対象にし、1事業者当たり上限30万円、補助率2分の1の補助を受けられる。
下松市では施設などの管理者向けに人材確保についての研修会を開いている。
介護人材の確保には介護報酬の引き上げなどで介護従事者の収入を増やすといった、より根本的な対策が必要とされている。一方で、戦後間もなくのベビーブームで生まれた団塊の世代が75歳以上になる「2025年」問題もあり、介護サービスの利用者の増加が見込まれている。市民が介護サービスを安定的に受けられるよう、スピード感を持った施策展開が求められている。
[解説]介護保険制度とは? |
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介護保険制度は市区町村が運営。高齢になっても住み慣れた地域で暮らせるためのサービスを提供する「地域包括ケアシステム」を掲げている。このシステムでサービス提供の調整・コーディネート役として重要な役割を担っているのが居宅介護支援事業所などのケアマネジャー。ケアマネジャーが利用者ごとに作成するケアプランに基づいてさまざまなサービスが提供される。 |