2026年06月26日(金)

コラム「一言進言」

親の「自己責任」はどこから

~いじめ、嫌がらせのない世界はあるのか~

十年以上は前になるだろうか、「自己責任」という言葉がよく使われた時期があった。中東で日本人のNGO活動家らが武装勢力に捕まった時だ。一部議員やマスコミが「自己責任」と主張した。活動家にしてみれば覚悟の上での行動で、あんなところへ勝手に行った方が悪いと言う論調に驚いた記憶がある。戦争で悲惨な生活を強いられている人々のために活動している人への評価とは思えなかった。今回、安保法制案が通って、自衛隊が海外で活動、戦死者が出ても「自己責任」と片づけるのだろうか。確かに一種の「自己責任」だ。いや「国家責任」だ。

またも中学一年生の二人が悲惨な事件に巻き込まれた。連日の報道で二人の行動も明らかになった。容疑者も捕まったが、何とも酷い犯罪だった。同じ子を持つ親として犯人に対する怒りは十分理解できる。しかし、どうしても理解できないことがある。明け方、まだ十三歳の二人が商店街をフラフラしている防犯カメラの映像が流された。いわゆるツッパリ学生でもなさそうだ。なぜ、明け方まで自由に街中をふらつけるのか。

最近頻発するいじめ自殺もそうだ。被害者の周辺、学校の対応など事細かく調べ、報道されるが、一日の半分以上を過ごす家庭での過ごし方や、親や身内との接し方はほとんど報道されない。もちろん級友をいじめ、死までに追いやる子どもたちは許せないし、放置していた学校側も糾弾されるべきだ。しかし、死のうとまで思い込むわが子の状態を、毎日接していた親ですらキャッチできないのに、それを教師に求めても無理があるのではないか。単純な疑問だ。

大人はみんなわかっているはずだ。いじめや嫌がらせがない世界は決してない、子どもだけに純粋むくで、汚れのない生活を求めることは無理なことを。しかし、事件が起こると、自分たちの現実の世界をそばに置き、教育評論家たちはいじめがあったことが信じられないかのように理想的な人間関係を語る。過去、一人として傷つけたことがないと言い切れる大人がどれだけいるか。

すべて社会が、学校が悪い、行政が悪い。親の「自己責任」について語る必要はないのか。いじめで死んでいく子どもを創り出さないため、親はどうするべきか。未明にフラフラして事件に巻き込まれない子どもを育てるために、親はどんな接し方をすべきか。もちろん犯罪者は死刑でも何でもすればよい。もう一歩立ち止まり「自己責任」の線引きをどこに引くか、それぞれが考えるべきだ。事件には必ずいろんな原因がある。

(中島 

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