コラム「一言進言」
離婚率高い周南市
~三世代同居の幸せを喧伝する~
■こんなに国を挙げて婚活に取り組んでいる国は、ほかにあるのだろうか。周南地区でも街コン、辻コンと、実にさまざまな出会いのイベントが開かれている。それでも周南市は三市の中でも特に婚姻届が減少している。人口減が急激に進んでいる周南市と、変化がほとんどない下松市との比較が面白い。この五年で百件ぐらい婚姻届が減少した周南市に対し、下松市はほとんど変わらない。昨年度、周南市は六百六十六件、下松市は二百八十一件だった。
■光市もほとんど変化ない。人口が減ることと結婚が減ることは完全に正比例であることがよくわかる。婚活に地方自治体が躍起になる理由はそこだ。結婚しない理由もいろんなことが言われている。男性が頼りなくなったから、家と家とのつきあいを嫌う女性が増えたから、女性の社会進出が原因だと言う人もいる。男女の出会いに口うるさい親が激減したと言うのに、なぜだろうか。
■一方、離婚届は変わらない。つまり周南市などは離婚率がますます高まっている。三割ていどだったのが、今では四割に手が届きそうだ。三組に一組以上が離婚している。これについても諸説粉々だ。こらえ性がなくなった。仲人も介さず、家のつきあいが希薄になった。女性が気楽に実家に帰れるようになったなど、いろんなことが言われている。なんにせよ、増え続けている。
■問題はその結果、少子化がますます進行していることだ。子どもの医療費の無料化など、あの手この手を使うが、効果はいまいちだ。価値観の変化に原因があるのではないか。フランス映画やアメリカ映画を見ていると、離婚は当たり前の世界に映る。そんなアメリカでも、田舎の農場などでは、親子三代が助け合って生涯をともにする場面をよく見る。そこには多くは美しい自然が背景にある。ともに助け合う労働もある。
■優しい地域があって仕事もある、親がおり、自然がある。田舎でできることは限りがある。しかし、この要素があれば人は幸せに生きていけるはずだ。大金持ちにはなれなくても、幸せになる可能性が多い地域を作ることだ。コミュニティーを磨き、仕事先を掘り起し、暮らしやすさを模索する、それがこれからの地方自治体の作業だ。若者たちへの啓もう活動をどう展開するか、自治体職員を先頭に地域全体で考える時代だ。三世代同居の幸せな若者たちを見せつける活動を大胆に取り組んでも面白い。それぐらいの主張があってよい。
(中島 進)
