コラム「一言進言」
社会常識のない校長のもとで
~広島中学生自殺の原因は?~
■広島県府中町の中学生の自殺は大きな波紋を呼んでいる。一年生の時の万引き歴が高校進学に影響することにも、世間は驚いた。一度の失敗が、将来をこんなに左右するのかと親たちは恐怖を覚えただろう。安倍総理の言う再チャレンジは中学生には通用しないのか。そんなに大切な情報が、かくもずさんに管理されていることも驚いた。
■全国の学生チームが宿泊する市内のあるホテル従業員に聞いた話だが、驚がくするが、引率する教師の中には、平気でホテルにデリヘルを呼ぶ者がいるそうだ。しかもそんな教師が率いるチームはほとんどが一回戦で敗退しているようだ。またそんな教師ほど学生たちを怒鳴りつけている。教師の聖職論には賛成しないが、質の悪い教師が存在しているのも事実だ。
■基本的に中学校校長は定年間近が多い。とにかく平穏無事に過ぎることに精力を注ぐ。何か問題が起きてもそれが公にならないことに必死な校長もいる。ある周南市の中学校長は、校内の暴力事件取材に、そんな事実はありませんと言い張る。事実を突きつけてようやくことの深刻さを意識し始める。何度かそんな経験したから、今回のような事案は驚かない。
■かつて下松市のある中学校で行事の取材にも非協力的な校長がいた。とにかく隠すことにきゅうきゅうとしていた。逆に周南市のある校長は、荒れた学校現場を見てくれと、保護者に呼びかけ、普通の日に学校に父母に来てもらった。暴れる中学生をどうするかは、先生だけで対応できない。まずは親、地域全体で取り組まないと解決できないと考えた。廊下を自転車で走り回るような中学生のいた現場は、しばらくすると普通の学校に戻った。勇気ある校長だった。先生に注意されるより、近所の人たちに見られることを生徒は嫌ったようだ。
■ある中学校の校長は、コミュニティースクールに熱心で、地域の住民と協議会を作り、会報まで発行していた。結果、防府市の教育長に招かれた。そんな校長の下では今回のような事件は起こらなかっただろう。現在、教頭を民間会社に一年出向させている。知る限り、多くの出向した教頭が従来の校長とは一味違った運営をしている。学校現場だけしか知らない人との差は歴然としている。社会の常識と学校現場の常識とを合致させることだ。世間を知らない人が、人生の生き方を教えることはできない。
(中島 進)