2026年06月26日(金)

コラム「一言進言」

べんけいが走るのを夢見て

~おじさんたちのロマンは止まらない~

■年をとると、社会にまだまだ貢献したい人と、自分の世界だけを楽しむ人とに大きく分かれる。人それぞれだが、社会的な活動に生き生きと取り組んでいるお年寄りを見ると、勇気が湧いてくる。先日、NPO法人下松べんけい号を愛する会から声がかかり、「鉄道産業の街・くだまつ」を全国発信しようというシンポジウムに参加させてもらった。
■栗田一郎事務局長はじめ、メンバーの熱心さは相当のものだ。同法人が「べんけい号」と呼んでいる蒸気機関車(SL)は明治40年(1907年)に我が国3番目のSLとして製造され、戦前は徳山海軍燃料廠で使われ、その後、下松工高で保存された。
■1981年、同校の創立60周年で、生徒たちの手で見事に運転再開を果たした。愛する会の夢は再々度復元して運転を再開することだ。メンバーの中心は同校の卒業生と、日立製作所で車両製造に携わってきた人たちだ。
■下松市内で同社で作っている英国向けの鉄道車両の陸送を日中にしたら、全国から数万人が訪れた。つい先日、英国でのこの車両の運行開始のニュースが流れた。我が社のホームページも、運搬前日には通常の10倍近い1万件をはるかに超えるアクセスがあった。下松が全国版になった。「鉄道の街」として世界に発信できた。
■おじさんたちの夢にはロマンがある。下松工OBとしての誇りや、日立製作所で日本一の車両を作ってきたという自信。定年退職したおじさんたちの第2の人生だ。まちおこしの一翼を担うという気概にあふれている。周南地区でも元気なおじさんたちの活躍は結構ある。AYSA(県アクティブシニア協会)はこれまで培ってきた技術を生かそうと高齢者の人材バンクや、若者の婚活を進めたり、多様な活動で地域に役立っている。
■いつの日か、べんけい号が全国の鉄道でその雄姿を見せ、白い煙を吐いて走る姿を想像しながら活動を続ける愛する会に、一種あこがれさえも抱く。技術的には復元は可能だそうだ。行政も含め、周囲の応援がなくては実現しない。修復には多額の経費もかかる。
■しかし、山口線ではD51の運行も決まり、話題を集めている。岩徳線にべんけい号が走り、県東部の目玉になることも夢ではない。下松工卒業生たちの夢が形になるのはいつのことか。鉄道の街・くだまつが全国版になるのと一緒だ。おじさんたちのロマンは止まることはない。

(中島 

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