2026年06月26日(金)

コラム「一言進言」

「総理の一言で終わる」

さすがの小泉流

■最近の郵便局はかなり不便になった。民営化後、企業の論理、経営の論理が優先、急激な合理化が進んだ。翌日配達もおぼつかなくなり、揚げ句にどう見てもわかりそうな配達先の郵便物も、あて先不明で帰ってくることさえある。「自民党をぶっ壊す」と言って総理大臣になった小泉純一郎氏が推し進めたのが、郵政民営化だった。反対議員には刺客まで送り込んでの強行突破で実現した。国民には、民営化でよくなった実感はないだろう。その小泉元総理が反原発を訴える講演会が周南市であった。
■会場の市文化会館は超満員。もちろん反原発の思いで来た人が多かったが、あの小泉進次郎氏のお父さんで、一世を風靡した元総理を一目見たいと思った人もいただろう。最初はちょっと聞き取りにくく、年齢を感じさせたが、次第に人をひきつける魅力を全開させていった。話は具体的でわかりやすく、論理的でもあった。派閥もなく、一匹狼的な1人の政治家が、国全体を動かしたパワーの源を垣間見た。
■核再処理工場も失敗、処分する手立てもないまま増え続ける核のゴミ問題。ミサイル一つで放射能の海になることまで言及。現在の原発政策の矛盾を的確に語った。原発政策を推し進めてきた自民党のトップに立っていた人物だけに、最初から反対を言う人の話と違って、説得力がある。安倍総理のおひざ元の山口県、現自民党副総裁の地元で、原発政策にここまで言い切れることに感心した。囲み取材でも、上関原発は絶対できないと断言していた。
■我が国は10社足らずの電力会社が電気を独占してきた。赤字が見込まれれば電力料金を値上げすればよかった。しかし、産業界にとって高い電気はもってのほかだ。結局、原発で料金を抑える道を選んだ。結果、福島で立証されたように、一度放射能に侵されると、取り返しのつかない事態になることがわかった。広島、長崎で放射能の恐ろしさを知った日本人も、月日とともに、その恐怖は体験者だけのものになった。中学時代、同級生が白血病で亡くなった。母親がお棺にしがみつき「私が殺した!」と泣き叫んでいたことを忘れることはできない。母親は被爆者だった。
■小泉元総理が言うように、北朝鮮が核を持つ恐怖より、原発にミサイルを撃ち込まれる方が現実的で、怖い。何しろ狭い国土に50基を超える原発がある。アメリカの力を借りて、すべて防げるとは到底思えない。圧力だけで屈服する北朝鮮とは思えない。小泉元総理が、総理に返り咲いたら、どうするのだろうか。拉致被害者を取り返した実績のある元総理だ。できれば北朝鮮問題への対処法を聞いてみたかった。政府は顧問としてアドバイスを受けないのだろうか。小泉元総理は言った。「総理が原発をやめると一言言えば、原発はなくなる。簡単だ」。

(中島 

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