コラム「一言進言」
心の闇を開けるのは誰?
〜安倍元首相を追悼する〜
■まずは安倍晋三元首相のご冥福を心からお祈りいたします。東日本大震災以来の大きな衝撃を受けた出来事だった。国家の要人を狙った事件は私の記憶の中では、ずいぶん昔の浅沼稲次郎さん以来の事件だった。何という世の中になったのかと、まずは感じた。
■過激派に属していそうでもない、ごく普通の人間の凶行に恐怖すら感じた。最近の世の中は確かにおかしい。世の中はITやDXなど先進的な科学がはんらんし、確かに文明は大きく進化してきたが、ウクライナやアメリカの政争を見ていると、人類が進化してきたとは思えない。
■最近の国内の事件も説明できないことが多い。「殺すのは誰でもよかった」「むしゃくしゃしていたから」と、なぜかを解明できない事件が多すぎる。高名な心理学者もお手上げだ。ほとんどの犯人は他人との接点を持たず、孤立しているように聞く。一人閉じこもり、自分の心の闇の中でしか生きられないのだろうか。
■それは我が国でも急増している自殺者の多さも、シグナルかも知れない。周囲の人たちと相談できない。家族、友だちとも心を開けない。そんな人が相当増えているのかもしれない。心の闇に閉ざされて、向かう先が自分か、他人かの違いなのかもしれない。
■日本中が他人へ関心を持つことを止めてきた。プライバシーを守ることが一番で、他人との関わりを極力避けてきたのではないか。都会で暮らすのは、まわりを気にせず楽だ。一方で寂しさも一段と増す。そのバランスが難しい。田舎では常に隣近所の目を意識している。最近は田舎でも個人情報保護を盾に素性がわからないケースが多くなった。
■どうしたら正解か、わからない。今や世界中の指導者同士だって仲良くできなくなった。文明は発達したのに、心はむしろ後退しているようでもある。ネットが世界中に普及しても、家族に優しく、友達に優しくの気持ちは普及しない。今回のような犯罪者を産み出さないようにするにはどうしたらいいか、とてつもない課題を押し当てられた。キリスト教や仏教界の出番か?
(中島 進)
