コラム「一言進言」
やせ細ったキュウリが105円
~世の中変えるのは投票に行くことだ~
■ 先日スーパーに買い物に行って何気なく見た値段表に驚いた。日頃キュウリの値段など気にしたことがなかったが、やせ細ったキュウリ1本が105円とあった。隣の白菜は4分の1のサイズで205円とある。なんという価格になっているのか。子どもが2人いる一般家庭の食費は一体どれほどかかっているのか。
■ 日頃買うラーメンの価格が急騰しているのは良く知っているが、野菜までこんな価格になっているのはショックだった。そういえばいつも通る道そばの「トライアル」の駐車場が数年前に比べて大幅に過密になっているのは感じていた。「100円ショップ」もしかりだ。
■ 我が国では約2割と言われている富裕層には実感として感じないだろうが、一般庶民の生活がどれだけ物価高騰で難儀な思いを迫られているか、やせ細ったキュウリ1本の値段から推察できる。時に今は日本中で総選挙の最中だ。「裏金!」「裏金!」と叫ぶのは当然だが、どうやってこの社会の貧困を解消するのか、正解を探すのは素人の庶民には無理だ。
■ 国会、政治の世界は一体この30年間何を議論していたのだろうか。世界の先進国の中で最も貧しい国になった日本をどう救出するのだろうか。地方経済は主にサービス業で成り立っている。小さなサービス業が主たる産業だ。わが社もその中の一つだが、人口が激減して、あらゆる需要が激減している中、どう生き延びていくのか、小さな飲食店は日々の仕入れで未来を感じることは少ない。ラーメン1杯が千円を超す時代になった。必然、客足は遠のく。
■ ところが選挙に行く人が激減している。地方選挙は特に顕著だ。豊かになったからと言う人もいるが、何がそうさせているのだろうか。新聞をはじめマスコミの在り方が変わったからなのか。貧しくなっても棄権する人が多くなったのはなぜか。地方が衰退してきたことに関係しているのか。あきらめか。
■ 40年、常に政治や行政の問題を取り上げてきた地方紙だが、この低投票率を食い止められなったことに忸怩(じくじ)たる思いが募る。市議選でもこれだけ紙面を割いてアンケートなどに取り組んできた。それでも投票率は回復しない。政治家も行政もこのあたりで真剣に市民の政治参加を考えないと、我が国から民主主義がなくなる後進国になってしまう。
■ どうか「日刊新周南」の読者は周囲に投票に行くことを呼び掛けて欲しいものだ。豊かな地方を取り戻すのは、よりマシな政治家を選ぶことからしか生まれない。政治家も育たない。年齢を重ねて落ち込んでいく民意に後悔は増すばかりだ。
(中島 進)
