2026年01月30日(金)

コラム・エッセイ

No.04 日本はダメになっていない1・・・ GDPだけをみて「昔はよかった」といえるのか

独善・独言

 田原総一郎は失われた30年は「戦後の日本人が求めた豊かに生きる意志がなくなった。今の社会には喪失感が漂う」と嘆く。まてよ、我々はそんな目標も生きがいもない30年を生きてきたのか。

 日本はダメになったという。A表、❶GDPは2000年からマイナス成長で、❷一人当りGDPは世界ランク31位に落ち込む。要因として産業構造変革の遅れや労働賃金の低さが指摘される。GDPは国の豊かさや経済規模を示す指標、「日本は世界の劣等国になった」との嘆きである。しかし、ほんとうにそうなのか、昔はよかったが、今はダメなのだろうか。

 時代話しを4つ。

㊀60年前、中学野球部1年の私は川に打ち込まれたボールを泳いで拾った。川は大嶺炭鉱の石炭洗浄で真っ黒だがなんとも思わなかった。

㊁50年前、新人の銀行員の頃の普通預金金利は過去最高の3%。割引金利は10%を超えることもあった。

㊂40年前、年間に幾日か平日に休暇をとらせなさいと本部通達がでた。店長が「A君、金曜日に休みなさい」と指示したら、A君は「平日の休みは結構ですから日曜日に休ませてください」と答えた。

㊃バブル後、料亭女将の尾上縫が負債4,300億円で自己破産した。

誰がどんな理屈で貸したのか。


 これらは高度成長期からバブルまでの、田原の云う自分や自社の業績を追求した“生きがいあふれていた時代”の記憶である。

㊀公害意識がなかった。企業の存在、成長こそ正義の時代があった。

㊁金利1割でも資金調達ができればビジネスチャンスありという金融機関依存経営の不思議な時代。

㊂パワハラ上司はどこにもいたし、サービス残業は当り前。モーレツに働き、滅私奉公する企業戦士がもてはやされた。そして、

㊃バブルの頃の行動にはそれぞれ苦い悔恨もある。普通でない風潮や意識に支配されていた。


 今は「脱成長期」・・・①コンプライアンス経営は行き渡り、②働き方改革、SDGsは当たり前、③バブル、リーマンを乗り越えた企業は想定外に備え内部留保に精をだす、④その中で賃上げの動きもでてきた、⑤22年度税収は過去最高になった、⑥景気は消費税率の引き上げ、コロナ禍を乗り越えた、⑦平均寿命は世界一と聞く・・・どこがダメだというのか。

 しかし、その「脱成長期」をたわごとだとあざ笑う見方もある。「縮みゆく社会では成長という概念を放棄して“別種の豊さ”に安住している。その方がラクだからだ」と的を射たコラムを読んだ。

 なるほど“見て見ぬふり”して先送りしてきた課題は山ほどある。ほんものの劣等国にならない対応が必要であることには疑いもない。

 しかし、しかしである。GDPの低下を論拠に「日本はダメになった」「昔はよかった」という主張には、納得できないのである。

・・・がどうでしょう。

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 次項以降に税収、平均寿命に触れたい。

講演請負業 阿武一治 kazuharu.anno@gmail.com

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