コラム・エッセイ
№35 地方自治考2・公会計の手法に違和感あり。しかし、私にはそれを改善するだけの知識がない
独善・独言私は仕事柄他人に負けない数の財務分析をしてきた。しかし、その過程で倒産を予知したこともないし粉飾を見破ったことなど一度もない。今回は地公体の公会計における“私の違和感”をお伝えしたいが、私の分析能力では“ワカラナイ”ことだらけであることを事前に承知いただきたい。
㊀公会計の一番の違和感は歳入=収入のなかに「地方債」=借入金があること。確かに地公体の起債は自由にできないし赤字国債のような経常収支の埋め合わせ的な借入れは原則不可というシバリのある価値ある資金調達である。しかし、キャッシュフローを収入に計上する手法になじめないでいる。
㊁企業では売上にあたる「地方税」…地公体運営の柱となるべきものの歳入構成比は下松市の40%が県内最高値にとどまる(A表㋑)。各市町は人口増加、企業誘致など様々に税収増に取り組んでいるが、なんと税収を増やしてもその金額の75%を次の㊃で触れる「普通交付税」で調整され手元に残るのは25%のみという大矛盾がある。税収増を追求するという市町の熱意を冷やすこの仕組みの是正はできないものか。
㊂㋺の「地方消費税交付金」は年々構成比をあげてきている。ほぼ人口比で均等に分配されるし、何より「たばこ税」同様国から勝手に振り込まれるという徴税コストゼロという価値をもう少し評価しても良いのではないか。
㊃納得がいかないのは「普通交付税」という国からの分配金である㋩。収支のアンバランスを国が補填するというものであるが、市町の間で差が大きすぎる。人口一人あたりで計算すると㋥、最も多い長門市と少ない下松市とは8倍もの差がある。下松市民である私は「不平等で憲法違反ではないか」と声をあげたくなるが、全国76の金持ち市町村は交付ゼロの不交付団体というから黙っている。
㊄この普通交付税に付随する一般にはなじみのない「臨時財政対策債」を紹介したい。「国に交付税を満額配分する金が無いので当面各地公体で借入を起こして調達しておいて欲しい。その金額は毎年分割して返していく」というもの。この“禁じ手”(識者の言)を20年前から実施している。㋭の周南3市の地方債(=借金)のうちの臨財債構成比は年々増してきて泥沼化してきている。
㊅は行政には「減価償却」という概念がないこと。道路も橋も校舎も毎年劣化するが帳簿上の資産価値は当初建設時のまま。地公体が保有する物件は課税対象ではないし、そのほとんどは他人に売却できるものでもないので必要ないということか。また、建設のために調達した借入金の返済は長期に渡る。この毎年発生する元利返済負担金=「公債費」が減価償却のようなものなのか…ワカラナイ。
㊆最後はよく聞く「複式簿記」。公会計の機能性、透明性を高めるためとして20年前から取り組まれているが移行に至っていない。
これまで述べたように公会計は「現金主義」、現金出納簿をそのまま集計しているに過ぎないお粗末なものであり他の先進国から後れをとっているとは識者の声。しかし、収入の大半が交付金、補助金、借入金と他人依存であること、インフラ資産は基本的に売却ができないこと等企業会計とは構造が違い過ぎるという思いもある…これも私にはワカラナイ。公会計は違和感だらけである。
…がどうでしょうか。
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