コラム・エッセイ
№44 オリンピック2…次の北口榛花や井上尚弥や大谷翔平はきっと現れる。続々生まれてくる
独善・独言先週に続いてスポーツ競技と体力という側面を注視しながら、パリオリンピックを展望してみたい。
前回表示した㋩のゾーンの競技でこれまでの常識をひっくり返すほどの衝撃的できごとはB表❶の北口榛花選手のやり投げでの優勝である。陸上では古くは棒高跳びや三段跳びなど技能を要する競技には金メダルがあった。体力勝負のマラソンでもなぜか上位ランクと見なされてきた。しかし昨今ではテクニック重視のリレーでしかメダルを望めなくなっている。そのようななかで陸上の基幹でありパワー競技そのものといえるやり投げでトップアスリートが誕生するとは、身長体重という面では遜色がなくなってきたといっても筋力とか瞬発力において劣る日本人が通用するとは…奇跡ではないか。一人出れば次の誰かもきっと出てくるという期待につながる。
この㋩のゾーンでは圧倒的に大谷翔平である。二刀流にはそれほどの価値を見出し得なかったが、昨年のホームラン王はスゴイ。イチローが肩や足で充分通用する日本人がいることを立証したが、大谷翔平のパワーとテクニックは日本人がさらにひとつ上のレベルを実現したことを示していないか。
加えて注目されるのは女子ゴルフの台頭である。体格が特別優れているわけでもないなかで、テクニックや知略だけで勝負できる競技でもないゴルフに、これだけ束になって世界レベルの選手が現れるのはなぜなのか…ワカラナイ。パリでも笹生優花、山下美夢有のどちらもメダルが狙えると予想する。松山英樹という一流プレーヤーはいるが、パワー主体の男子ゴルフ界では日本人の出番は少ない。
このゾーンでは体操やスケートボード、ブレイキンなどパワーはさほど必要ない競技がある。これらでのメダル獲得は今回も将来も確実であろう。日本は後発の国には真似ができないレベルの技能と知能を蓄積してきているといえる。
㋥はネットを挟んで別のフィールドで闘う、体力のウエイトがネットで軽減されるという競技である。しかし、実態は多くの競技においてテクニックをパワーが圧倒していないか。典型的なのはテニス…神和住純も松岡修造も錦織圭もトッププレイヤーに届いていない。球の質がパワーを吸収する卓球やバドミントンよりはるかに体力まかせのボールが突き刺さってくるということか。
男子バレーにメダルの期待がかかるが、真に強豪国に対抗できる体格になっているのか、相手を圧するパワーアタックができるのか、熱量がパワーに乗り移る本番において勝ち抜けるか…ランキング世界2位を実証できるか。
最後の㋭は体重別競技である。この設定ならどこよりテクニックや知略に勝る日本が強い。ここではふたつほど。ひとつはボクシング。いくら体重別であってもパンチ力は体力と比例するのか、オリピックの金メダルは2つでしかない。テニスと同様、相手からの圧力に抗しきれないということであろう。しかし、井上尚弥という超人が出現した。この異次元度合いは北口や大谷以上かもしれない。
もうひとつは柔道。あえて昔のように無差別級と呼ぶが、東京の女子で素根輝が金メダルを獲得した。私は男子に無差別級でトップに立ってほしいと思っている。“柔よく剛を制す”とは柔道の崇高なコンセプトであるが、この無差別級金メダルでそれを実証してほしい。その事実こそ日本人の心技体が外国人のパワーを追い越したとの説得証左になるではないだろうか。
以上、次の北口、井上、大谷はきっと生まれる。続々生まれてくる。
…どうでしょうか。
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講演請負業 阿武一治 kazuharu.anno@gmail.com
