2026年01月30日(金)

コラム・エッセイ

No.72 地方自治考 11 このコラムを読んでもあなたは「ふるさと納税」を続けるか

独善・独言

 A表は徳山在の先達から教えらた「まど・みちお」の詩である。私は小中高時代を美祢市に育った。当り前のように⑴私が整備したわけでもない砂利道を、⑵私が建てたわけでもない学校に、⑶私が頼んでもいない駐在のお巡りさんに守られ、⑷私が雇ったわけでもない教師に導かれて成長した。20数年前にこの詩に接するまで、親には感謝をしても“公共”に育てられたとの意識はまったくなかった。

 「ふるさと納税」が始まった16年前の時点ではこの“故郷への恩返し”という意識と、首都圏と地方との財政格差を是正するという2点で本制度を歓迎した。しかし、今になってはこの制度がバカバカしく思える。即刻廃止すべきという観点で意見を述べたい。

 なお、参考にした総務省の数値は年度がずれることや申告方法の違い等により絶対なものではないことをお断りしておく。
 
 ㊀C表㋭-寄付額は1兆円を超えて㋠-住民税納税者の6.4人に1人と過熱してきた。これが“返礼品あおり”という制度本来の理念が歪められた結果であることは明白であるが…バカバカしくてこれ以上このことに触れる価値もない。

 ㊁B表㋑は寄付額を周南3市と全国トップ2市とを比較したもの。ここまでの大差はどこから生じたのか。もちろんダメ市町へは自業自得という批判があってしかるべきであろうが、公平であるはずの政府の施策にここまでの格差があることを見逃してもよいのか。

 ㊂他市町に寄付をすればその分現住まいの町の住民税が目減りする。B表㋩は寄附にともなう収支である。今下松に住む我々家族は国、県、下松市という“公共”に支えられて生活している。確かに市民税から消費税まで幅広く税を支払っているが、それは交差点の信号機1台分の年間経費より少ない金額ではないか。我々は“自分が作っていないもの”ばかりに依存して生活している。そんな私が美祢市に恩返しするような意図でたとえ僅かでも、否、その僅かな金額を積み重ねることで成り立っている下松市の財政を棄損することが許されるのか。

 ㊃B表㋺-税控除額=住民税の目減り分の75%は計算上国の普通交付税で補填される。各市町はこの仕組みがあるからこそ㋩-出の税控除額が入の納税額を上回っても“まあいいか”と安穏として見逃がすことができる。1兆1千億円の寄附を受けても㋣の返礼品のための4千億円の費用を要するし、税額減少分㋬7,600億円を国や市町が負担するという事業である。

 なお、この制度で失う㋬と㋣の負担額を㋷の個人事業税総額を単純に比較すれば約9%にもなる。

 ㊄もうひとつ腹のたつこと…先の交付税の収支算定には寄附金は考慮されない。よって、本制度でフトコロが潤う上位2市もB表㋥のとおりフツーに交付を受けている。寄附額は各市町の努力の反映であるとはいえ、いくらかの調整があってしかるべきではないか。

 以上…とこかくこの制度はバカバカしく腹が立つ。ここまで私の主張を聞いてもあなたはふるさと納税を続けますか。

…どうでしょうか。

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