コラム・エッセイ
No.121 学生時代の友と論争した…役人で過ごした友と商売人の私とは意見が合わなかった…貴方はどっちを支持する
独善・独言 これまで本コラムで様々な主張をしてきた。ただ、私は自分の意見が絶対的に正しいと思ってはいない。百人百様と思うので末尾に「どうでしょうか」と投げかけている。反対意見の方と議論をする気など毛頭ない。
ところがである。先日先輩の弔問に訪れた岡山のホテルで同学年の友人Uに自説を猛然と主張した。ナゼか…彼はある県の農業分野の重鎮で、いわば国家の施策を推進してきた役人である。また、今でも「朝日」「日経」を購読し「選択」まで目を通すインテリである。そのような彼の的をはずした(と私には思える)主張に我慢できず言い返したということである。以下、私ががUを絶句させたやりとりになる。
㊀高市さんは経済がわかっていないと言う。Uよそれではこの失われた30年の間の首相15人のうち経済がわかっていた首相は誰というのか。安倍氏には浜田氏とか竹中氏とかブレーンがいた。今の高市氏も日本有数の専門家を周辺に配置しているはずでそれが組織である。
高市氏の発言によって生じた摩擦を、殊に中国人旅行者が60%超減を失政だという。ただ、インバウンドの恩恵は一定の業者に限定されているし、今の空港や新幹線の混雑をみればこれで良かったという状況をどう受け止めるか。むしろ高市氏の周辺がこの敢えての発言により生じた損失度合いが、当初想定したものとどれだけ差があったのか…役人のあなたには興味がないのか。
㊁一方、高市氏の台湾を橋頭堡とする国防策に疑念はないのか。私は今年になって「普天を我が手に」「流」と中国共産党と蒋介石の戦いの顛末に触れた2冊を読んだが、台湾は独立国家といえるのか改めて疑念をもった。台湾有事を日本有事とするのは内政干渉だとする中国の主張にどう反論する。日本が北方4島を返せとロシアに宣戦したとき北朝鮮が参戦してきたらどうする…ありそうもない仮想話ではあるが、同じ趣旨とは思わないか。
㊂その北方4島は日本の領土なので返還を求めるべきというが本気か。4島が返還されてその領海、領空を得たところで、魚が獲れて地元の漁師が潤ったところで、そのための対価⇒ロシアへの賠償金や様々な譲歩とのバランスがとれるのか。さらにいえば今以上純粋離島(A表㋑の橋のない島)を増やしてどうする。島が行政にとって負担であることはUも先刻承知のこと。
政府が過疎化対策として推進しているコンパクトシテイの一環として全国の島民を本土に移住させれば国や地方の財政負担はどれけ圧縮できるかを、役人のあなたは想定したことがあるか。
㊃その日本の防衛に関して高市首相のトランプ依存は情けないとUは言う。それでは米軍の存在なしで国防が可能と思うのか⇒今の軍事予算9兆円がどれだけ膨張すると見積もっているのか。
米軍の駐留にかかる人権負担は2兆円という試算がある。これにトマホークのオスプレイの弾薬の製造費とランニング費が必要になる。これらのコストをどこから調達するというのか。
加えて米軍5万の兵士の代替が可能か。政治家が云った“貧乏人しか入隊しない”自衛隊?であればA表㋺のとおり成人人口半減の20年後には徴兵制ヤムナシになる。Uの孫も銃をもつという覚悟があるか。それとも移民の傭兵に頼るのか。
㊄あなたに聞いてほしい。失われた30年というけれど…2011年に最高値の75円32銭であった円ドル相場は今162円台なった。実に215%の円安である。一方、この間の物価指数は18%高でしかない。GDPがドイツに抜かれたと云うけれど、25年の貿易収支が大幅赤字というけれど、ドルベースで換算すればどちらも別の答えもみえてくる。
プラザ合意、バブル崩壊、リーマンショック、東北震災、コロナ…これらを乗り越えてきた企業の軌跡を役人のあなたはどう評価するのか。
Uは言い返せなかった。否、言い返せなかったのではない。ニコニコして私の偏り話に相槌をうってくれていたのである。それは55年前の岡山の下宿屋の風景と同じであった。私は久しぶりに自己主張ができた。懐かしくかつ痛快であった。

