2026年06月24日(水)

コラム・エッセイ

グーパー礼賛

新しい出会いに向けて-この町・あの人・この話- 浅海道子

 情報化時代の今日、自分の周囲は情報が溢れている。大抵は今すぐ役立つものではないが、良いヒントになって役立つものもあるから、興味を持って取り入れておくと思いがけない収穫を得ることがある。そんな体験に珍しく2人揃って恵まれたので、誰かのお役に立てばうれしく、ご紹介する。

 人生で大切なことは、してはならないことをしないこと、しなければならないことをすることを最優先とした上で、したいことをし、したくないことをしないこと。「してはならないこと」「しなければならないこと」は人によって様々だろうが、高齢期になると万人に共通する「してはならないこと」は2つあると思う。

 その一つは「転ばないこと」、もう一つは「風邪を引かないこと」。若い頃なら、転んで一瞬痛くてもすぐに回復するし、転びそうになったら「おっとっと!」と体勢を取り直して転ばないように出来る。しかし、高齢者はそうはいかない。骨密度は想像以上に低下していて、ひとたび転ぶと砕け散って寝たきり生活が待っている。

 風邪引きもそう。若い頃なら2、3日で快復し「いい休養」にさえ思えたが、高齢期の風邪引きはまさに「命取り」で、体調悪化の連鎖となり、これも寝たきり生活に引きずり込まれる。転ぶことも、風邪を引くことも、取り返しのつかない結果を招く、人生を全うする上の「してはならないこと」だと言える。

 風邪引き対策のマスク着用、手洗い励行は幸い、我が家では徹底出来ているが、転ばぬ方の対策はなかなか大変。目に見えないほどの数ミリの高低差でもつまづき、転びそうになるのは毎日のこと。

 これはわがつれ合いも同じ体験を繰り返していたようだが、ある日、嬉々として報告があった。「グーパー歩き、いいぞ」と言う。ある日TVの健康番組で、足指を開き、閉じる運動が健康に良いと紹介されていて、数分やるだけで効果があるという。画面に合わせてやってみると、なかなか具合が良いと思ったが、なぜか歩きながら指を広げ閉じを続けると、腰痛持ちで、いつもは数分歩くと立ち止まらなければならなくなるのに、いつまでも歩けそうに感じる。

 そしてもう一つ気付いた。指を閉じるときには床や靴底をつかむような歩きになるので、次の一歩を進めるとき必ず足を上げることになる。だから、すり足にならないのだ。すると大敵の「わずかな高低差」につまづかない。転倒防止に極めて効果的なことに気付いたと喜びの報告になった。東京に住む友人にも勧めて、思いを共有したそうだ。半信半疑でやってみた。

 「パー」はうまく出来ないが「グー」はなんとか出来て、歩行は妙な感覚だが、確かにすり足にならず、これならつまづきは防げそう。普段なら「いいぞ」と言う大抵のことは「それはあなたの独りよがり」と思うことが多いのだが、これはなかなかいい。歩きもいつもより確かになったような気がする。

 皆様も気が向いたら試してみられるとよい。「しなければならないこと」ではないが「してみてもいい」ことにはなりそう。

(カナダ友好協会代表)

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