2026年08月13日(木)

コラム・エッセイ

思いがけなく(その1)

新しい出会いに向けて-この町・あの人・この話- 浅海道子

 膝関節半月板損傷と診断され、階段の上り下りもできない生活を続けてもう半年。そんな中で、今月久々に上京した。もちろん一人では行けないから、わがまま勝手の通じる無償奉仕の介護人と一緒に。

 かかわっている若者支援事業に必要な資格更新の講習と、事業改善のための陳情に国会議員を訪ねて関係省庁を巡り、それに思いがけなく実現した文部科学大臣訪問と、二泊三日、四十数時間滞在に盛りだくさんに詰め込んだ日程となった。

 この旅、本当はもっとゆったりとした行程のはずだった。きっかけは将棋界にさっそうとデビューした藤井聡太四段。

 あれよあれよと連勝を重ね、将棋界最高峰の棋戦である竜王戦の予選にも登場。挑戦者になって七番勝負となり、最終戦までもつれ込めば山形県天童市が決戦の地となる。指し方も知らない将棋だが、歴史的戦いの場にいてみたいという野次馬根性で宿を予約し、帰路に東京でのんびり過ごすつもりだった。

 ところが竜王戦は早々と決着がつき、天童での棋戦はなくなり、予約したはずの宿も確認の電話を入れると「はあ?そんな予約はいただいていませんが」と言われる始末。いっそすべて中止しようかと思ったが、東京のホテルは予約ずみ。どうしようかと思っている時に講習会の連絡が入り、それならこの機会にと、事業運営にかかわる関係省庁への陳情も組み込んだのだ。

 「二人で行楽旅行のはずが、これでは出張旅行だな」というつれ合いの声を「私のせいとばかりは言えないし、まあ、これも運命ね。あきらめて二日間付き合って」と心の中で応えてやり過ごしていたが、出発前日、旧知の大臣夫人に上京のことを伝えると「東京に来るなら、時間は空けられるそうだから、お寄りなさいよ」というお誘いを受け、文科大臣訪問もかなうことになった。

 いよいよ当日、博多駅を発ち、徳山から合流したつれ合い殿手づくりのいなり寿司を昼食に、のぞみの車中で約五時間を過ごして東京へ。チェックイン後はくつろぐ間もなく、早々に講習会場へ向かい、夜十時までみっちり講習を受けた。その間、新宿の「ともしび」でうたごえを堪能したつれ合い殿とホテルに帰還して一日目は過ぎた。

 二日目朝、文部科学省を訪れ、ここで合流した福岡のスタッフと一緒に大臣室に向かう。エレベーターの壁に掲示された各部署の所在をもの珍しく目で追いながら昇り、案内された大臣室。自ら出迎えてくれた大臣にあいさつしながら、部屋の大きさに驚いた。

 大きなデスクのある執務室には、十数人は会議できるスペースも備わっている。あいさつもそこそこに、通された応接室で、早速、資料説明に入った。

(カナダ友好協会代表)

大臣室にて

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