2026年10月23日(金)

コラム・エッセイ

11 ― 対人距離2.0m ―

ライブハウスと私 兵頭尚吾

前回の続き。

2020年4月。日本に限らず全世界をパンデミックに落とし入れたCOVID-19。

政府は「3密を避ける新しい暮らしを」と釘打ち、

「密」を得意とする我々ライブハウスはがんじがらめになった。

きっかけは大阪のライブハウスのクラスターだった。

「ライブハウスは悪だ」

「こんな時にライブをするなんて理解不能」

そんな声が後を絶たない。

当店にも電話やメールがいくつも届いた。

日本で最初に営業自粛を高じたのは我々の業界だった。

予定していた公演は全キャンセル。

観客を招いて成り立つライブが1つも開催出来ず、

流石に心も弱くなっていった。

その状況でも全国の同業者と手を取り合い、何とか売り上げを出す方法を模索した。

当店が実施したのは2つ。

1つ目は「配信ライブ」

観客を招かず、無観客でライブを配信した。

しかし、地方のアーティストの配信がそれほど売れる訳ではない。

試行錯誤を重ね、より良い環境作りも試みたが、長くは続かなかった。

2つ目が「オフィシャルグッズの制作」

スタッフが考案し、縁の深いアーティストからデザインもいただきグッズを制作。

大きな利益は生まれはしなかったが、僅かばかりの売上を得る事が出来た。

3カ月程の完全休業を経て、ようやく営業再開の目途が立つが、

業界が定めるガイドライン「対人距離2.0m確保」という条件付きだった。

周南ライジングホールはキャパ550名に対して50名。

周南ライズはキャパ250名に対して15名。

それでも、我々を気にしてくれている県内のアーティストが帰ってきてくれ、

久しぶりに灯った照明の下で、大きな音が鳴った。

鳴り響かないのは、観客の歓声。拍手だけが響く。

この状況でもライブが開催されたことに涙が出た。

年が明け、2021年になった。

感染拡大はいまだ止まらない。

夏が過ぎても業績は悪化し続け、いよいよ限界が見えてきた。

しかし、ここで終わっちゃいけないし、終わらせない。

私は、ある行動に出ることにした。

次回はそのお話を。

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