コラム・エッセイ
No.79 恐ろしかった・台風14号
美人薄命 走れ!おばさん 中村光子年中行事のひとつ、年に1度、友人達と鹿野の山奥のレストランで、豪華中食会をする。今年は9月18日だ。
ところが、非常に強い大型台風14号が18日夜から鹿児島付近に上陸し、九州のほぼ全域と、その周辺を巻き込み、やがて山口県に上陸する、と言う。
昼食会は中止だな、と思っていたら、主催者S女史は「山口県は19日上陸だから食事は致します」と言う。彼女の言う通り、台風を心配する事なく、昼食をおいしく堪能した。
夕方から、次第に激しくなる強風と豪雨にテレビから目が離すことが出来ない。宮崎県の端っこに住む息子に3回電話をした。
「大丈夫です。心配ご無用です」
取り付く島もない返事だ。考えてみれば、息子も娘もコンクリートの建物に住んでいる。吹けば飛ぶような、築50年のあばら家に住んでいるのは老いた私だけだ。何回も電話をするなんて、お袋も老いたもんだなあ、と思っているに違いない。ふん、プンだ!
夜になると、ますます激しくなる風雨に、テレビをにらみ、時には正座して観ていた。
やがて、宮崎地方に最高警戒警報レベル5の、大雨特別警報が出たと、繰り返し繰り返し報道する。だが、息子には電話しない、と自分に言いきかせた。
季節の変わり目のこの時期、不眠と高血圧に悩む私は、入眠剤を服用するが、18日は飲むのを止めた。もちろん、眠れなかった。
明けて19日、敬老の日だ。町内と社会福祉協議会から、金一封を戴いた。ヘソクリで細々暮らしている私には有り難い。今晩はおかずを1品増やそう…。
幸い、台風14号は山口県北部を通過するらしいが、鹿野地区は総雨量、308.0ミリで、24時間降水量が観測史上はじめてだと言う。前日の昼食会のことを思い出し、背筋がぞおーとした。
目の前のことしか判断出来ない私は、その後のテレビで、台風は四国、近畿、関東方面にも上陸と知り、ひとり身の恐ろしさに、只、おろおろするばかりだ。
激しい風雨の中、家の前のシャッターを上げてみた。燃やせるごみ出しの日で気になっていたが、1袋のゴミ袋も出ておらず、安心した。
その昔、我が愛する町有楽町の端から端までの住民は全て顔見知りであった。会えば必ず挨拶を交わしたり、立ち話に花が咲いたものだが、今は知らない住人が多く、町内会にも入っておらず、ゴミ出しも出鱈目(でたらめ)で…ある。
只今、19日夜20時過ぎ、まだ、雨は断続的に、降り続いている。
