コラム・エッセイ
No.82 只今・思案投首中…です
美人薄命 走れ!おばさん 中村光子ここ2週間、続けて我が家の遊び場入口、つまり、玄関で摩訶不思議なことが起きた。
先週の木曜日の日だ。精巧に細工された、手のひらサイズの一軒家が、下駄箱の上に置いてあった。
そして、今週の木曜日は、その一軒家の庭先に合うように作られた、テーブルと4脚の椅子が置いてあった。
実は、我が家の玄関には、不似合いな程立派な下駄箱が、でんと座している。その下駄箱は、親友のS夫妻がマンションへ引っ越した時、玄関の入口より大きいので、処分すると言われたので、貰ったものだ。我が家の中で、1番立派な家具だ。
その下駄箱の上に、尊敬する画家I女史の抽象画をはじめ、友人からの贈り物の造花、娘が誕生日にプレゼントしてくれた、大輪の真っ赤なバラと、ブリキの豚や、友人制作の造花の花園等を置いている。
その中に、細工物の一軒家と、テーブル、椅子は、堂々と座している。私はそれを見ながら、手先の器用な友人の顔を、あれこれと思い浮かべてみるが、全く見当がつかない。
物忘れがひどくなった昨今、それを友人達にグチると、友人も同調するが、それは私に対しての同情であろう。娘は「昔も今も相変わらずヘンな母」と、いつも同じ返答だ。それは娘の優しさ故の言葉だと、わかっているから反論しないことにしている。
そこで、私は百歩譲って考えた。思い当たるのは、その事件(?)は、2度とも木曜日に起きることである。
只今、我が家の2階の広間で、毎週、木曜日の朝、100歳体操をしている。
もしかしたら、木曜日の100歳体操に参加するひとの誰かが、そっと置かれたのではないか。少し、ボケてはいるが、その程度の判断は…まだ出来る。
だが、立場を替えて私だったら、と考えた。
「ねえー、ちょっと見てよおー、これ、私が丹精こめて作ったのよ、上手でしょ、上手でしょ、そう思わないかな」
と、自慢し、低い鼻をひくひくさせるのに決まっている。
ところが、過日、犯人が見つかり…おっと、失礼、間違えました。奇特な方がわかりました。
我が家から3軒ばかり離れた家の御主人で100歳体操に参加の方でした。その方の奥方が
「黙って置くよりはひと声かけた方がいいんじゃないかしら」
と、言ったら
「いいんだ、いいんだ」
とおっしゃった、そうです。
思案投首の私。只今、寡黙なご主人に捧げる言葉を模索中です。
